必殺ガード予約

第14話 必殺ガード予約

 あんなことを言われては、そうそう負ける訳にはいかない。
 
 俺はすぐにホームグラウンドの『エデン』に戻った。
 
 まずは、使えそうだと思ったあの必殺ガードを予約しようと思う。
 
 本当は『ヴァルハラ』で予約を済ませておきたかったのだが、あのデモンストレーションのお陰で、オプションルームは長蛇の列。
 
 三人はしばらく見学すると言っていたので、俺は一人で『エデン』へと戻った次第だ。
 
 着いてすぐに、俺はオプションルームへと入り、手間を惜しまずカスタマイズ。
 
 グラフィックは最もシンプルなものに削って、少しでも必要経験値を減らす。
 
 ただ、グラフィック効果を完全に無くしてしまったりすると逆に高くなるので、単に淡い光に包まれるというものに落ち着いた。
 
 次に性能を上げる事を検討する。
 
 防御力を上げる事も効果時間を増やすことも出来ないようになっていたが、ゲージ消費は減らせるようになっていたので、最低値まで減らす。
 
 思っていたほど減らせなかったが、それでも必要経験値は十万の大台を突破してしまったので、今度は削る事を考える。
 
 大会に間に合わせるには、五日間の平均を4ゲームとして……二千円か。
 
 夏休み前までバイトしていたので、お金はあまり心配しなくても大丈夫だろう。
 
 で、そのうち15回を勝つとして、K.O.なら1回につき最低でも3000点。
 
 まぁ、5万までは楽に届くだろう。8万まで行くと厳しいか?
 
 ギリギリまで頑張るとして、7万程度にしよう。
 
 そこまで稼ぐほど勝てないのなら、大会でも勝てないだろう。
 
 削るのは、まず効果時間だろう。
 
 ガード必殺を終始使い続けるなんて戦術を取るつもりは無い。
 
 元々が30秒の効果時間を持っているのだから……ををっ!1秒まで削れば、何と5万点!
 
 ……止めよう。意味ないから。
 
 7万までにするには……約5秒。使えないな、あんまり。
 
 10秒程度にするとして、あとは防御力を……いや、それもこの技を取る意味が無くなるな。
 
 だとすると……。
 
 俺は迷った挙句あげくに、ゲージ消費を少し上げて、習得に必要な経験点がおよそ7万2000点で落ち着いた。
 
「よしっ!」

 ピシャリと頬を叩いて気合を入れて受付に向かい、出場登録を済ませる。
 
 待つことおよそ15分。ようやく俺の出番が回って来た。
 
 そして。
 
 対戦相手の名前を見て、俺は軽い目眩めまいを起こした。
 
 ジャンヌ・ダルク。
 
 俺に唯一の黒星を付けた奴。
 
 つい先程までの気合は、試合が終わるまでには跡形も無く四散していた。