タンク擬き

第7話 タンク擬き

 今日もまた、俺は行きつけのアミューズメントパーク『エデン』に足を運んでいた。
 
 到着してすぐに、俺は出場の登録に向かった。
 
 今日も店内は込み合っているが、設置されている筐体は3台の為、比較的早い内に順番は回って来た。
 
 相手は残念ながら、ジャンヌでは無かった。それだけを確認すると、俺は敵の名前すらも確認せずに戦いを始めた。
 
『プロテクター!』

 敵はまず、ガード必殺技を使い、そのエフェクトで装甲服を身に纏った。
 
 よく見てみれば、ソイツはCPUキャラクターのタンクに酷似していた。
 
 そのタンクもどきは、俺を中心に時計回りに旋回しながら、弾丸をバラ撒き始めた。
 
 俺はガードしながら、隙を見て距離を縮めて行く。
 
 そして接近した隙に――俺はショットガンを、相手も銃を撃ち合った。
 
 同時の攻撃は、攻撃力が高い方が勝つ。
 
 この撃ち合い、勝ったのは――俺の方だ!
 
 ガード必殺の上からとはいえ、カウンターで入った攻撃は、相手にそれなりのダメージを与えていた。
 
 タンク擬きは倒れない。だが、更にもう一撃の攻撃を与える隙が生じた。
 
 俺はチャンスとばかりに必殺技を繰り出した。
 
「裏ジャック!」

 ダッシュにより接近し、蹴りによる乱舞技がタンク擬きの体力を削る。
 
 それが終わった時――ガード必殺の効果時間が切れてしまい、そのグラフィック効果が装甲服からただの迷彩服に戻った。
 
 ――勝機!
 
「正ジャック!」

 それがまともに入って――あとは、残り僅かの体力を、相手が再びまとったガード必殺の上から削り取り、試合は終わった。