第20話 希望する惑星型
「『Morning』さん、得意な惑星型は?」
どうやら、真面目に指導してくれるみたいで、『Primula』さんがそう声掛けをして来た。
「ええと……。
最初に『海洋型惑星』を引いて、ソレで長く……って言っても、10回位ですけど、ソレでコツを覚えました。
そして、一通り経験するまで、その後は1回ずつのプレイングをして、大まかなコツは掴んだつもりです。
老師から一通りは教わって……、その、あの、こう云うゲームとか、私、実は好きだったみたいで、のめり込んでしまいました。
得意……と言われると、正直、一番プレイング経験の長い『海洋型惑星』と云う事になると思います」
「で?『10対7トレード』の概要位は教わっているの?」
「あ、はい。時には損を引いて、敢えて対等の『10対10トレード』を避けるのが、心理学の観点から言っても『勝ち易い』、と」
「ふぅーん……じゃあ、あとは自力で頑張ったり、巧い人のプレイング動画を見て研究したりする位しか、強くなる余地は無いわねぇ……」
昼姫、ココは勇気の出し処よ!今ココに、世界ランキング上位3人が居るのよ!
――と云う念が伝わったかどうかは判らないけれども、昼姫は勇気を出して訊いてみる気になったみたいだ。
「あの!……皆さんのプレイング動画を見せて頂けませんでしょうか?」
「――良いわヨ。と云うか、私たちのハンドルネームで検索して自分で観たら良いわヨ?」
「あっ……そうよね……スミマセン、勉強させて頂きます!」
「『実践に勝る経験値無し』、とも言われているけどなぁ……」
「だから『Victory』は3位止まりなのヨ」
「何だとぉ!7位止まりの偽りの『Venues』よ!」
「ワタシは王 李明を8位止まりに抑える為のストッパーなのヨ。
『Morning』さんには、是非とも6位に入って頂きたいのヨ。
だから、プレイングスタイルを見せて欲しいのヨ」
「えっ!?私なんかのプレイングスタイルなんて……」
昼姫は口では躊躇しているが、タブレット端末を取り出し、魅せる気満々だ。
「えーと……じゃあ、『海洋型惑星』を希望して、プレイを始めて頂戴」
「えっ?!希望する!?
そんな事が出来るんですか?」
何故か皆の目線は老師・岡本に。
「老師、基礎の基礎を教えていない!」
「否、違うぞ。
特定の惑星型でのみ強くなってしまうと、他の惑星が疎かになるから、敢えて教えなかったのぢゃぞ!」
「「「「嘘臭い~」」」」
「本気だから!」
だが、岡本を除く面子の合意を以て、『プレイング希望惑星型』の応募方法が昼姫に伝授された。
「あ!ホントに『海洋型惑星』を引けた!
ありがとうございます!私、こんな事も知らなかったんですね!」
「良いって事ヨ~」
だが、未だ4人は知らない。
昼姫の、本気を出した時の操作の早さを。
「試合って来ます!」
自分の尋常ならざる操作スピードの自覚が無い昼姫は、どこまでも呑気だった。