最期の時

第90話 最期の時

 今の俺は、幸せだ。

 将来に不安はあるけれども、今は幸せだ。

 だから誰も、今の俺の幸せを壊さないで欲しい。

「だからと云って、将来に対する対策は打たなければならないのよね」

 隼那は言う。

「例え、俺らがあの阿呆の平和や幸せの為に存在して居るのだとしても、存在意義が無いよりは、よっぽどマシだよな」

 恭一も答える。

「自分が、何の為に存在して居るのか判らない、何なら、世界に嫌われ者が少なすぎるから存在させられた、なんて人よりよっぽど存在意義があるわ」

 文豪には並び立てない。だけど、文章をお金に換えている。最早、セミプロだ。

 だけど。

 死ぬまでソレで食って行けるかと云うと、そこまでは稼げない。

 最早、疲れた。

 日本の将来は、他の日本の若人に任せた!

 俺は年老いてしまった。

 老兵は死なず、ただ去るのみ。

「だからと云って、この物語世界を未だ終わらせて貰うのは困るのよね!」

 おフザケが過ぎたのだ。

 例え、それが神様の道であっても。

 神様の位置は、真ん中より少し左上らしいのだ。

 ならば、女神様は?

 恐らく、もっと左だ。

 何故ならば、左端の数字たる『666』が、『三女神の数字』と言えるからだ。

 神様が『6』たろうとしたところに、後から女神様が割り込んで『6』となり、神様は『7』となったから、恐らくは神様の恨みで『666』はサタンの数字なのだ。

 だが、基督教は更にフザケた。『ルシファー』と『サタン』の同一人物説を唱えたのだ。

 魔王の王様の数字は『13』だが、王様は国の『No.1』。『777』の縁起の良さが、『7+7+7』で『2重に「No.1」』であることにあるのならば。2重に魔王である、即ち『ルシファー』であり、『サタン』である、と云う事になる。

 ならば、『777』が必ずしも縁起の良い数とは限らない。

 単に思い込みの問題であるが、『777』のツキも、『悪運の強さ』程度でしか無いのかも知れない。

 何処まで俺たちを追い詰めれば気が済むと云うのか、基督教!

 と云うか、『七つの大罪』と向き合った時に、『全て受け止める!』と意気込んだ結果、2つは弾かれて他の者に受け止められてしまったが、残り5つは受け止めているのである。

 その時は無我夢中であったが故に、冷静な判断など取れなかったが、俺の本質とはそう云うモノらしかった。

 道理でイジメられる筈である。『サタン』とは、イジメの極致にあるものであるからだ。勿論、イジメられた側がサタンになれば、自動的にイジメた側もサタンになる。

 世の中で成功者になりたいのならば、イジメは行わない方が良い。根拠は先に述べた通り。

 結果は、『No.2』にしかなり得なくなる。

 強い役に『アラシ』と名付けた花札も、相当に半可臭い。

 ああ、そうか。俺は行動が計画的でないから、成功し得ぬと云う事か。

 ――参った。俺は計画を立てるのがとても苦手だ。

 こうなると、今年1月1日に大規模地震が起こったのも、納得がいく。

 『二重に「No.1」』の辰年の日だ、世界の何処かに壬辰みずのえたつへの対抗者たる甲辰きのえたつの『サタン』の誕生の時だ。

 ――待てよ。甲は『十干』の『No.1』だ。『三重に「No.1」』たる、『サタン』であり『ルシファー』であり、そして恐らく、『アスモデウス』でもある者の誕生の日だ。

 何たる事だ!ソレでは、覚醒は相当に遅いぞ?

 否待て、60歳の『甲辰』の『サタン』に期待が持てるかも知れない。

 だが、露は、相当に大きな国だ。

 そして、独裁国家であるが故に、独裁者への対抗馬は、始末されてしまっている。

 ああ、成る程。道理で、独のかつての『ナチス』に警戒し、宇を『ネオナチ』呼ばわりする筈だ。

 ヒットラーの最期は自害だったとの覚えがある。

 ならば、露よ、独裁者たるが故に、形勢がおかしくなったら、『自害』する覚悟をせよ。

 お前はとうに狂気に囚われている。

 狂気の果てにロシアンルーレットを始めてしまったんだ、自らを撃つ覚悟を決めよ。

 最早、露に望むことは何もない。

 自害を覚悟に北海道を望むのならば、徹底抗戦して見せる!

 或いは、日本が好きな、自らの娘に討たれる事をも、覚悟せよ。

 そこまで覚悟の上での日本・特に北海道侵攻ならば、お前を撃たんとした娘が部下の手で始末されても、自業自得だぞ?

 そこのところを、重重に覚悟するのだな。