第4話 X崩壊
ムーン達三人は、一時間以上、スターを探し回っていた。
「おい」
ムーンは、そろそろ我慢の限界だった。
「おい!」
リックの腕を掴む。その腕を、更に土鉄族が掴む。
「乱暴は止せ」
「はぐらかしているだろう!
俺がこの街の地理に疎いとでも思ったか?!」
「じゃあ、案内してよ!逃げないから!」
「なら聞く。ココは何処だ?」
「疎いじゃないか!」
「そういう意味じゃない!
ここはスラムだろう!
――貴様ら、ヤる気だな?」
ムーンは、腰の刀に手を当てた。抜くと予感した土鉄族が、間に入って斧で初太刀を止めた。
「待て!儂らに、やりあう気は無い!」
「信用出来ぬ!」
直後、瞬間的に真っ暗闇に包まれた後、地響きが鳴り渡った。
「わー!地震だー!」
「違う!――どうした、おヌシ?顔色が良くないぞ」
土鉄族が云う通り、ムーンの顔色は真っ青だった。
「――並の反応ではない……。
――まさか、アレを解読したのか……?」
ムーンは、辺りの街灯を見回した。
街灯は一日中灯るようになっているので、日も傾いた夕刻、そろそろ一見して分かる筈なのに、一つとして灯りが灯っている様子が無い。
心当たりはあった。それを解読する過程を、一つだけ記入してしまった暗号がある。
それなりの知識があれば、読み解けてしまう程度に記してしまったが、アースの頭を侮り、そのまま「渡してくれ」と、孤児院の職員に託しておいたが。
一時間と経たずに、「X崩壊」のニュースは口頭で触れ回れられ、都市機能が無人で維持する事が出来なくなったことが、一晩で街中の人々に知れ渡った。