第27話 傑作な終わり方
「しかし、ゲートと云うのも便利なものだな」
世界と世界を繋ぐ。そんな超能力が、簡単な訳は無い。
紗斗里曰く、『レベル30相当』と云うが、世界最高レベルの紗斗里を以てしても、レベル10。
偶発的な要素抜きでは、紗斗里でも確実に使いこなせる訳では無いのだ。
それを、狼牙は『便利』と云う。
確かに、異世界から食糧を買い足せたのは、大きなメリットだっただろう。
だが、蝗害や病気のウィルスが、異世界にまで蔓延してしまったら、大変な事だ。
ところが、このゲートを閉じるには、ゲートを開く時並みの超能力を行使しなければならないのだ。
とりあえず、狼牙には謝礼をしなければならないと、本人の希望も聴いて焼き肉屋に行った。
この狼牙と云う男、生肉を平気で食べるのだ。
焼いたとしても、サッと両面を炙るだけ。
精肉屋に案内し、生肉を買って食べさせた方が良いかもと隼那も恭次も思った程だ。
そして、『クルセイダー』として『アンギール』に問い詰めたところ、キラーチームとして日本に攻め込む事はしないが、国としての方針はどうなるか判らないとの回答があったのだ。
真に以て、意味のない戦いであった。
却って、無用に犠牲者を増やしたのみだ。
だが、戦争とは現に、そう云うものであるのだ。
だからこそ、戦争を行う者は愚か者と思うのだが、露の、少なくとも首相、例え影武者であったとしても、その方針を曲げる程の影響力は無かった訳だ。
恐らく、2025年には決着が着くのだ。そして、その後に北海道へ侵攻した結果として、大震災が起こるのだ。
小規模なら兎も角、大規模な地震は『大地の怒り』であると認識していないのだろうか?
甚だ疑問ではある。
モスクワに壊滅的な大震災が起こる可能性だってある事を、全く意識していない。
それとも、露が津波ミサイルを開発していて、大震災無しでも、日本を大津波で一掃してから、手に入れるつもりだろうか?
日本の文化や技術が失われた後では、価値などほぼ無いに等しいのに、首元に突き付けられた懐刀のようで不快だから一掃するのだろうか?
ならば、韓も狙われるのだろう。
領土の分配は、社会主義国同士で話が付いていて、北海道は露の取り分、とされたのだろう。
しかし、露と云う大国が、宇と云う小国を率先して攻めるとは思わなかった。それだけ、露は追い詰められていたと云う事か?
真っ先に暴走するなら、朝のような気がしていたが、ソレはバックに付く二ヵ国の大国の後押しと云う余裕が控えさせたものか、それとも此方の背後にチラつく米の影に恐れたのか。
どうにせよ、中国を除いて良いものかどうかは判らないが、朝と露は、積極的に戦争をする意思があるのだろう。
自国を富ませるのではなく、豊かな国から奪おうと云う考えは、最早蛮人の考え方だ。
どちらにせよ、富ませる努力をしないのならば、豊かな土地を奪ったところで、豊かな国になどならない事は、彼らにとって、どうでもいいことなのだろうか?
どちらにせよ、先に民主国家が社会国家を攻める事は無い。日本で軍事クーデターが起きない限り。
何故ならば、国民が戦争を望まないからだ。望まない戦争をすれば、選挙にも勝てず、政治家は自身の支持者を失い、失脚する。
一部の馬鹿者達は別だが。何処にでも、好戦的な馬鹿者は居る。
そんな派閥が幅を利かせた場合、どうなるかは判らない。
ただ、コレだけは言える。露が、北海道を侵攻する意思が無い事を主張しない限り、七日間限りで世界が滅ぶ、世界大戦が起こる事は。
最後の最期の最後の最期は、笑える結末に陥るか、Warっちゃうかのどちらかであると。
この世の最期は、是非とも傑作となってくれる事を、望みたいものだ。