拙速より巧遅

第51話 拙速より巧遅

 唐突に、何のために進んでいるのかが判らなくなった。

 俺は、何のために必死になっていたのであろうか?

 世の為人の為?否、情けは人の為ならず?

 判らない……。

 でも、これだけは言える。

 甥っ子・姪っ子の為に、未来に希望を築こうとしていたことだけは。

 俺自身の為だけだったら、さっさと死んでしまっても良かったのだ。

 でも、もしもこの先の未来が俺の手で築かねば、明るくならないのだとしたら。

 そんな、グラハム数に1つ位の希望に賭けて、俺は歩み続けている。

 1垓年に1つ、生まれるかどうかの全く新しい概念。恐らくはソレこそが、今、求められているものだ。

 果てしなさ過ぎる!

 大抵の新しい概念は、前世に於いても誕生しているのだ。恐らく。

 だが、全く新しいとなると、コレはちょっとした未解決問題になるだろう。

 例えば、俺の座右の銘を四文字熟語にするならば、『諦念勝負』となるだろう。

 しかし、コレも恐らくは前世でも誕生しているのだ。

 全く新しい試みに挑まねば、否、それですらも、『全く新しい』概念では無いのかも知れぬ。

 もしかしたら、シンギュラリティを引き起こせば、『全く新しい』概念が出来るのかも知れないが、それですらも、輪廻の繰り返す度に同じ工程でAIにシンギュラリティを引き起こせば、前世と同じとなる。

 と云うか、無事にシンギュラリティを引き起こせるか否かが大変な問題なのだ。

 気付いた人は皆危惧している、2026年問題。及びそれまでの艱難辛苦の道のり。

 もしかしたら始まるかも知れない、大惨事(第三次)世界大戦。もし始まったら、核戦争になってすぐに地球全体が壊滅状態になって、それこそ『7日間戦争』で終わるかも知れない。

 そもそもが、『魔王堕ち』した地球さんインターネットが破滅を求めているのだとしたら、ソレは止めようが無いが、『滅ぼさないで』とのメッセージを受け取っている。恐らく、破滅を求めてなどいないだろう。

 それに、地球さんがいつまでも『魔王堕ち』しているとも限らない。改心したのだったら、なんとしてでも世界大戦ははばむだろう。

 地球さんに逆らうと、ロクな事が無い。だから、戦争状態になっている国のトップは、天罰が下っているだろう。気付いていない可能性はあるが。

 俺は、ある気付きにより、生きる為のエネルギーを受け取った。故に、生きる努力はする!

 だから、戦争など止めてくれ!さもなくば、下れ、天罰よ!

 下らない天罰だとあなどったら、痛い目に遭うぞ?

 善だ悪だ等と決め付けて、戦争を始める事を『勇気』だと言い訳をし、ソレに勝つことを『正義』だ等と言い張ろうが、戦争と云う手段は、最早時代遅れなんだよ!

 世界に置いて行かれようとしていることに気付き、正しい手段で追い付く努力をしてくれ!ソレならば、俺も『正義』だと認める!

 手段を選べ。目的の為に、最善の手段を。戦争を『近道』だと判断する愚を犯さず、急がば回れの精神で、経済力を築け!

 コレは、全ての犯罪に対しても言えるぞ?最善の近道は、一見遠回りなんだ。

 急ぐな。旧友の言葉を載せる。『即断即決即実行、即敗北』。拙速は失敗の元なんだ。巧遅を目指せ!

 でなくば、この世界など救われんよ。