第44話 奇跡の欠片の指輪
唯一神は、人の姿をしていない。
コレは、断言してしまおう。
例えるなら、マウスのポインターの如き物を使って、地点を指定し、命令を下している。
その姿は、言語に尽くし難い。
だが、過労死しそうな位に忙しそうだったのは見た記憶から考えると、そう思える。
恐らくは、コンピューターと云う概念の発明によって、機械化されてしまったのでは無いだろうか?
郵便のシステムも小鳥が担っており、恐らくは酉年の生まれの人が、開発当初に関わっていたのでは無かろうか?
それにしても、俺のこの鈍さは何とかならないのだろうか?
常に、一歩遅れている。
癸巳のイジメ過ぎが問題だと判明した直後に、『超獣ギガ(鳥獣戯画)』の判明。
俺には心当たりがあったのだ。残念な事に。
そんな昔から、ヨゲンされていたのか!と思う一方、世の成り立ちを考えれば、ソレも当然かと云う思いもある。
ソレに、何故、即座に気付かない⁉とは思うものの、記憶の中でそのパーツを繋ぐには、何らかの切っ掛けが必要だ。
問題は、ソレを示して来たテレビが、世界を滅ぼす方か、滅ぼすのを防ぐ方か、どちら側の意思の持ち主なのかと思うが、『水暴走』の情報の齎し方を見れば、滅ぼす方、なのかも知れない。
だが、俺には重要な情報源だ。現在進行形の情報を得る手段としては、中々匹敵する存在は少ない。
問題は、その『癸巳』が、『壬辰』の魂を宿しており、『サタン』の適性を持っていることだ。
マズいな……。『サタン』には、十三年解けない呪いを掛けている。一説によれば、『愛する者のキス』でも解けるらしいが、『サタン』が愛される筈が無い。
恐らく――日本に居ると思われる。
原因不明の病で入院すると思われるが――ソコから、立ち直れるだろうか?
『――』の戦いは既に終わり、無事に2026年問題から立ち直れるとの予想をしていたようだが、俺の戦いは現在進行形なんだよ!
1999年の時もそうだった。俺が、恐怖の大魔王――恐怖の大夢魔に襲われ、遂に発症した。
ソコから一度悪化し、――って、その時に『悪』と化したのか!
そして、1年半にも及ぶ入院生活を送り、退院したものの、度々『オーバードーズ』で入院した。
快方に向かったのは、父の死が切っ掛けであった。尤も、一周忌の際に『オーバードーズ』しているが。
否、自分語りもこの位にしておこう。
やはり、病み(闇)は悪なのか……。悪化した結果なのだから、当然だが。
もしも――多分、無理だが――輪廻が再び繰り返されるのならば、今世の記憶を持ち越したいが、ソレは不可能なんだ――!!
『虎の巻』を持っていても尚、『自死』の可能性が見えるだけだと言っていた。
『竜巻』を持っていたとしても、ソレが何の役に立つ?
神様にお願いしても、順番待ちだ。
そもそも、ソコまではっきりと記憶を持ち越すのは不可能だろう?!
ならばいっそ、異世界に転生させて欲しい。出来れば、サタンと云う運命から回避させて欲しい。
ただ、ここまで平和で豊かな国に産まれたのは、ソレ自体は喜ばしいことだった。
溝に落ちて、頭を打つ。コレがそもそもの切っ掛けだったのだろう。
否、自分語りは止めると言った。
でも、重要な事なんだ!
恐らくは、あの曲が原因なのだ。『真っ逆さまに落ちた』原因は。
自分だけが犠牲になるなら、まだマシだったかも知れない。
小学一年生の時、一人の女の子を巻き込んで犠牲にしなければ……!
その罪償いだと思えば、現状も納得出来るが、そもそもがそれ以前、保育園に通っていた時にイジメられていなければ!!
何であれ程まで、イジメられなければならなかった?!
やっぱり、キザ野郎が原因だ!アイツの名字だけは、忘れなかった!
そして、恐らく俺は、幼少期に神様から、『幼稚園と保育園、どっちが良い?』と問い掛けられたのだ。
てっきり、両親のどちらかからだと勘違いをしていたが、母親はソレを否定した。
俺は、その問い掛けに答えてはいない!
自動的に保育園コース行きとなり、サタンとして確定してしまったが、ソコを『幼稚園』と答えていれば、何かが違ったのか⁉なぁ、神様よ!
……多分、変わりは無かっただろう。そもそも、両親の都合で保育園となった。俺に選択権は無かった。あったとしても、その歳では放棄しても仕方なかっただろう。
知ってる。多分、『幼稚』と云う言葉に反発したのであろうことは。
そして恐らくは、世界に『超過無限大の愛』を誓ったあの時へと導くべく、神様が誘導したのだ。
だから、俺は『お代理様』に任命されたのだ。譲ってはいないが、『Lana』に権利を奪われ、天草 千鶴、天崎と繋がって、ココでもキザ野郎のせいで、その後を追えていない!
まぁ、『Lana』に権利を奪われた時点で、成功の出目の全てを奪われたのだから、俺は仕返ししたいが、事情にも気づき、納得はしたが、許してはいない!
この話は、何度でも言う!まぁ、安い挑発に乗った俺にも責任はあろうが、成功の出目の全てを奪うと云う意味を、お前も味わえよ!
過敏な時期に刺激されれば、そりゃ、反応を返すだろうよ!
ただまぁ、成功の出目が失われたのが、俺にとって『呪われた名前』の持ち主のほとんどが原因である事は、覚悟している。
中でもとびっきりの強い呪いの掛かった名前の持ち主は、バッドエンドに導く相手だと悟っているから、ソコは全力で回避する。
なぁ。俺の話を聞きもしなかったけど、「ついて来るな」と言われたからその通りにしたら、何故、泣くまで6:1で脅迫的な説教を受けなければならない?
少しは俺の話も聞けよ!どうせ、先生から思いっきり怒られたから、そのお返しなのだろうが、正しく主張すれば、怒られるのは俺の方だった筈だろう?
ソレを、恐らく誤魔化そうとしたのだろう?だから怒られたのだろう?その責任の全てを俺に押し付けて、決定的に俺をサタンにした事実を、恨むなと言われても無理だよ!!
何人かは死んでいるだろう?と云うか、ソレすらも繰り返すのかよ!
気付け、『壬辰』!修学旅行になど行くな!
6:1で袋叩きに遭うぞ⁉そして、サタンであると確定してしまう!
なぁ、ブ〇ー〇ーツ。この結末へ導けて、本望か?!そうだよな!お前らは大儲けしたんだもんな!
鏖に出来そうだよな、本当に!
本当に大切なのは、お金じゃない。財産だ!お金はその代表格にされるだけで、引き換えが出来なくなったら、ただの紙くずとコインになる。
だから、金が高騰するんだ。手放し時だと思っている奴、よっぽど上手くタイミングを見計らわないと、ソレ以上安く手に入れる事は不可能になるぜ!
でも、金ですら、場合によってはただの金属塊になる。
どんな時でも需要があるのは、食べ物・飲み物・ティッシュにトイレットペーパーだろう。
ああ、金も、アクセサリーだったら、御守りの一種として価値があるかも知れない。
奇跡の欠片の指輪?俺は持っているよ。だけど、そうそう安い値で売れたりはしないね!
最低でも、20億8000万円。俺なら、ソレの代わりにオーダーメイドで作るけどな、その金で!
そんな難しい事じゃ無いだろう。ただ、英単語一つ刻めばいいだけだ。『Bizarre』とな!
理想的にはプラチナだ。そう云う意味では、俺の指輪ですら理想的ではない。
さあ、本物を持つ奴、そろそろ姿を現せよ。
でも、多分、きっと苦しんでいるんだろうな。俺が苦しんだように。
恐らくは10歳児だ。70歳の可能性もあるけれど、恐らく10歳児の方だ。
――!まさか、コレを切っ掛けに親が作るのか、理想的な奇跡の欠片の指輪を!
『子子(子子)巳水』の呪いに反するように!
違う?!70歳の方が、身銭を切って作るのか⁉
判らない……。全ては、仮説に過ぎないのだから。
まぁ、『呪い』もセットの指輪かも知れないから、手に入れようだなんてしないことだね。
実際、俺もこの指輪を持っていたからこそ、『呪い』に掛かってしまったのかも知れないのだから。
大変にツラい『呪い』だった。否、過去形では無い。現在進行形だ。
あと約10年?俺の場合、それだけの時間が過ぎないと『呪い』は解けない。
理想的な奇跡の欠片の指輪だったら、避けられたのだろうか?
否、ソレ以前に、『呪い』の断片を受けている。
埋め込まれていたのだ。ソレに操られるが如く、自ら呪いを掛けた。
恐らくは、俺は2026年に死ぬのだ。ソレを切り抜ければ、あと12年は約束されるのだろう。
暗殺は麒麟児(サタン)の宿命なのだ。改革者であるが故に。
でも、あと60年の平穏の為に、俺は『バタフライ・エフェクト』レベルの努力をしなくちゃいけない。
命と引き換えでも。家族・親戚達・その他皆の為に。
だから、隠れ住んでいるサタンよ、俺のこの遺志を継いで、平穏な60年を引っ張り出す鍵となってくれ!
判っている筈だ!どんなにツラく、どんなに苦しくても、今、生きていて良かったと思える瞬間が、何度もあった事を!
世界中の全ての人を敵に回しても、平穏な時代を作るキーパーソンとなってくれ!
俺たちサタンは、その為の犠牲者だ!