第19話 星の死
星にも寿命はあると云う。
だが、星の終わりを想像するのは、中々に難しい。
恒星ならば、燃え尽きてオシマイだろう。
だが、惑星は?
一度、生命が滅んでも、再び生命が現れれば、復活するのではないか?
だが、星のサイズとして、恒星よりも小さな惑星の方が寿命が長いとは思えない。
勿論、恒星が燃え尽きれば、エネルギーの降り注がなくなる惑星に、生命は滅びてしまうだろうが。
地震で、惑星が割れてしまうと云うマグニチュードがある。『マグニチュード12』だ。
惑星が割れてしまっては、確かに、惑星としての『死』を迎えたと言えるかも知れない。
又、太陽では少々サイズが小さいのだが、恒星の終わりとして、『ノヴァ』や『ブラックホール』が存在している。
太陽がブラックホールになる場合、その時のサイズは、驚くほど小さい。
半径約3kmだ。
故に、太陽がブラックホールになる可能性は、ほぼゼロだ。
その代わり、膨張して赤色巨星になり、美しい惑星状星雲になると言われている。
因みに、太陽の熱効率は、人間の身体より低い。
つまりは、太陽と同じサイズの人間が居た場合、発する熱は、人間の方が多い、と云う事になる。
まぁ、実際には、人間は光っていないのだし、発する光のエネルギーは太陽の方が大きい気がするが、人間の熱効率で太陽サイズになると、光るものなのだろうか?
卯辰は、こう云った考察をするのがとても好きである。
宇宙の接点が観測されたとのニュースを知った時には、軽く興奮したものだ。
それまで、卯辰が『一つの宇宙』だと見做していたいたものが、複数の宇宙の集合体だと判明したのだ。そりゃ、軽く興奮もするだろう。
そして、他の宇宙が謂わば異世界であることを考えると、少しブームは頂点から衰えたものの、『異世界転生』と云うのは、本当に起こっている可能性が高いものと考えられる。
で、あるならば。自殺者の中には、異世界転生を夢見て自殺した者が、程度は分からないが含まれると考える方が自然だ。
望み通りの異世界転生が行えるとは限らない。それでも、ソレに夢を見る者は、居なくなるのは人類が滅ぶ時かその直前まではかかるだろう。
だが、世の中には、完全に消えて無くなりたいと云う思いで自殺する者も居るのだ。それでも、異世界転生して、何らかの希望を持てる人生が迎えてくれるのなら、彼ら・彼女らも救われることだろう。
『全ての人に、希望の持てる人生を!』と、そうは思うが、世の中には恵まれたものが居る反面に、犠牲者が居る。それも、恐らくは犠牲者の方が多いくらいだ。
せめて、それを半々に。卯辰は、そう願わずにはいられない。
いや、6:4だ!いいや、7:3だ!と、欲張る者が居るから、却って犠牲者が増えるのだ。
半々。いや、中間層も入れて、『2:6:2』の割合である事が望ましい。勿論、中間層が『6』だ。
それが叶うのなら、卯辰は悪魔に魂も売るだろう。