第13話 対マモン戦
卯辰は、次に挑むボスを決めていた。
七大魔王の一角、『マモン』。強欲を司る魔王だ。
特別なステータス異常を与えて来る相手では無く、単純に強い。
そして、報酬が美味しいらしいことで有名なボスだった。
本当に特別なステータス異常が無いのか?!と卯辰が調べたところ、稀に『目が眩む』事があるらしいことが分かった。
床には、一面に財宝。故に、報酬が美味しい。その代わり、『目が眩んで』財宝に気持ちが惹かれる事があるらしい。
一応、ステータス異常を治す魔法だったら治せることも調べ上げた。マモンにではなく、財宝の方に『目が眩む』効果があるらしいことがやや厄介だ。
卯辰の職業、『偉大なる賢者』には、ステータス異常に強い側面がある。ヒーラー役を務める機会が多いが故にだ。
真っ先にステータス異常に陥るようでは、ソレを回復させることが出来ない場面がある。
勿論、ヒーラー専門職程ではない。
但し、今回もレイド戦。卯辰は器用な立ち回りを求められる側面は強い。
ヒーラー、魔法アタッカー、バッファー……。流石に、タンク役は務められない。
だが、器用である反面、専業職には敵わなかった。
魔力の値では敵う相手がいないものの、効果値への職業ボーナスの値で負ける。
効率において約2割の差。その差は、長時間に渡るレイド戦では決定的に差が出る。
故に器用な立ち回りで、レイドに貢献するのであった。
特に、全体完全回復魔法の打ち所が重要だ。
しかし、その魔法の構成を、卯辰は他の回復役プレイヤーに教えている。
だから、卯辰は最も見極めが厳しい場面での全体完全回復魔法の打ち手として構えていた。
だが、脳筋プレイヤーは、実戦の際、『目が眩む』のステータス異常にかかりまくった。
いや、脳みそも筋肉と同じく鍛えられるものだそうだから、脳筋と云うのは、知力の低いプレイヤーだけに言える事では無いのかも知れないが。
しかし、前衛が殆ど『目が眩む』状態になっては、戦いにならないのだが。
勿論、ステータス異常回復魔法は回復役プレイヤー達が率先して行ったが。
どうやら、『目が眩む』は知力依存でかかりやすいステータス異常のようだった。
「スノーフィールド」
卯辰は、床にある財宝そのものに、『目が眩む』対策を行った。――一面を雪で覆ったのだ。
そこからは、大して苦戦することなくマモンを討てた。
やはり、恐るべしはステータス異常であった。
次の目標は、リヴァイアサン。『嫉妬』を司っているが故に、恐らくは『嫉妬』のステータス異常を持っているであろうことは間違いない。
それが如何なるステータス異常なのかによって、リヴァイアサンの脅威度は違ってくる。
卯辰は、その辺の下調べをするのであった。