第27話 エンディング
あと3週間。
その頃には、俺にも3枚目の翼が生えていた。
浮力、スピード、コントロール能力。全てが優れている。
これで、三対半七枚になったら、どれだけ快適だろうか……。
鍛錬も始めた。未だ、腕立て・腹筋・スクワット、各20回も出来ないが。
いいのだ。毎日、少しずつ努力して行けば、それで十分なのだ。
結果を急いでは、ろくな事にならない。
地道に、一歩ずつ。
何事を為すにも、それしか道は無い。
それがたとえ、道なき道を進み、進んだ後に道が出来るのだとしても。
まさか。
そう、まさかとは思う。
まさか、俺なんかが、『天才』と見做されているなんて可能性は、万に一つ……あるのか?!
確かに、『天才の助言』に、自分のアイディアを投影した。
そこは、本物の天才が助言しなくてはならなかっただろう。
俺なんかが、『天才』等と自称するなど、そんな才能は何一つ持ってなどいない。
今更ながら、ああ、と思う。
俺に、何か一つでも才能があったらな。
その道を極めていたのに。つくづくそう思う。
イジメられる才能?それなら、あるかも知れない。
でもそんな才能、何の役にも立たないじゃないか!
運命的に強くなる?だから?その結果、イジメられると云う運命が待っているなら、意味が無いじゃないか!
最強になるまでイジメ続けられる?そんなもの、イジメられる過程で死ぬに決まっている!
ああ、そうさ!俺は死んでやるともさ!時が来れば。
そもそも、俺は死に方の選択肢すら選べないのだ。
運命的に言えば、『公開処刑』。俺はそれを、『傑作だ!』と笑った。
笑わば笑えよ。その為なら、俺は悪にでもなる覚悟がようやく決まった!
せめて、歌えたら良かったんだけどな。もう、歌えないんだ、俺。
まぁ、もういいや。もう、世界が終わってくれても構わない。
何一つ、成し遂げられなかったな……。
でもいい。
ひょっとしたら、時代遅れだったのかも知れない。
もう疲れたよ……。
もう、世界に終わりが訪れても構わない。
だから、この物語世界を、まず終わらせる。
中途半端と言われようが構わない。
だから、この世界はこれでおしまいだ。