愛のカタチ

第22話 愛のカタチ

 その日は、神菜と二人、待機場所の西側、夕陽が沈むのを見ながら、優雅にディナーを頂いた。

 コレも無償だと云うのだから、驚きだ。

 なら、何故コンビニとかカードとかは有料なのだろうと思ったが、必要無い人は使う必要性を感じないであろうことから、奪い合いにならぬよう、有料なのだろうと判断した。

 奪い合い、争うことを、何故宗教は禁じないのだろうか?!俺が宗教の教祖ならば、まず真っ先にそれを禁じる。

 但し、スポーツとして競い合う分には、それを容認する。eスポーツも含めて。

 恐らくは、自らの宗教の教えを広める為なのだろうが、争ってまで広めるほど、そんな大層な教えをしているだろうか?

 教祖は、例外無く自己中だ。まるで、世界の中心は自分だと云わんがばかりに。

 俺も、宗教的教えを天界で得たが、平和的でありながら、そのおぞましさに、広めることを躊躇する程だ。

 伏字をして敢えて宗派名を挙げるなら、『レ〇ピ〇ト教』となる。

 その悍ましさも、想像に難くないであろう。

 まぁ、その実態は『レ〇プ』のマナーの教えなんだけどね。

 極少数の、『レ〇プ願望』のある女性向けの、確認の為のマナーだ。

 勿論、ルール説明もして納得して貰った上でなければ、万死に値する死罪だし、求められていない事を強要させるのはそれも犯罪だ。

 でも、思うんだ。

 売春は、法律で禁じられているけれど、『初めて』の経験を済ませていない人には、性行為は難しいと思うんだ。

 『色欲』は七つの大罪の一つだけれど、子孫を遺す為には必要不可欠な行為だ。

 その練習を、経験者相手に行うことは、大事な事だと思うんだ。

 だから、正しく確信犯として『売春行為』を行う事は、犯罪としても軽微な罰で済ませるべきだと思うんだ。反省文を書いたりとか、その程度で。

 そしてそもそも、金銭の支払いさえ無ければ、ソレは売春行為ではなく、単なるお互いの合意による営みだ。

 ソレが犯罪行為になるようでは、世界に『少子高齢化で滅べ』と言うのにも等しい。

 で、あるならば、金銭の授受を行う場合のみが『売春』であって、経験値を積む為の営みは、犯罪ではない。

 ただ、ソコに『お金を払ってでも!』と云う人と、『どうせならお金位欲しい』と云う需要と供給があるから、売春行為は成り立っている。

 売春は、世界最古の商売だとも言われる。

 ソレは、やはり必要性があったからこの世に存在しているのだ。

 恐らくは、『お金』と云うモノに対する欲望が、売春と云う形にしてしまっているのだと思う。

 もしも、『初めて』の経験を済ませてあげるだけの行為でお金の授受が無ければ、それは『性女』にして『聖女』とも言うべき、優しい行いなのではないだろうか?

 男の場合は『性者』にして『聖者』だ。

 この世に、適切な新生児の出生率が保たれる事にも繋がるであろうし、少子高齢化対策にも重要なファクターだ。

 いっそのこと、資格を得た人だけに許可される『商売』となるならば、そのサービスには価値があるだろう。

 一夫一婦制に対して物申す訳ではないが、この格差社会においては、いっそのこと『一夫多妻制』にして、子孫を残す為の施策にしてしまえば良いのではないだろうか?

 それも、夫の側の収入に対して、金額に比例した人数を妻とすることを許可すれば、子供は今よりももっと多く産まれる事だろう。

 妻の収入に頼っているようでは、一夫多妻制を適用する価値が無い。男の『甲斐性』と云うものを問うものとすれば、男だって頑張るだろう。――自分の欲望のレベルに比例して。

 そして、収入と云う面に関して言えば、創作物に対する印税に、『中古取引印税』と云うモノが課せられる必要があると思われる。

 中古の市場での人気作の作家に対する救済措置だ。安さを求めて中古で取引をするのは分かる。

 だが、中古で幾ら人気があっても、その作者に収入が無いのならば、その作者の得る収入は、不当に低く扱われる結果となる。

 勿論、大型取扱店に限るとか、制限を付けるのは構わない。でも、中古の取引でその作者がノーリターンでは、クリエイターとして終わってしまう。

 だから、少額で良い。中古の取引に、印税を!

 ソレで救われ、未来に傑作を遺す可能性の芽を、どうか摘み取らないで欲しい。

 一冊1円程度でも、塵も積もれば山となる。

 それでも、新品での人気作家の方が中古での取引でも優位に立つかも知れない。だが、それでいい。

 貧乏作家でも、食っていけるのなら。

 そこに価値はあると、――愛があると、俺はそう思う。