第21話 宇宙旅行
8時間経過後のバイタルチェックを終えた俺たちは、夕飯を頂いて部屋に戻る。
まる鍋があったので、頂いた。因みに、スッポンのお鍋の事をまる鍋と言うらしい。
美味しかったし、精も付く料理だったので、採血された分の栄養素にはなっていると信じたい。因みに、生き血も飲んだ。
若干のゲテモノ料理感は拭えない。
以前、聞いた話では、亀も中々美味しいそうだ。でも、日本ならばスッポンと云う事になる。養殖もされているしな!
ウミガメの卵も、食べる為に取る者が居ると聞いたことがあるが、全て取るような獣の如き行いをする者が居るから、絶滅の危機に瀕していると聞く。
美味しいらしいが、全部取るのはダメだろう。
まさか、ウミガメの卵もそのうち出て来るか?!と思ったが、結果論、この島でウミガメの卵を見ることは無いのであった。
「ココの料理、ホント贅沢よね」
サンドウィッチを摘む神菜が言った。豪快にハムを大量に挟んでいるサンドウィッチに、フルーツと生クリームを挟んだサンドウィッチもあった。
とても美味しそうだ。明日の朝食に食べてみるかな?
カードゲームにも、『飽き』がやって来た。それは神菜も同様と云うか、いつか、自分を負かせる者が現れたら、終わりにしようと思っていたそうだ。
そんな訳で、二人でデートの計画を立てる。釣りはまたやってみたいと、神菜は言う。
夕マズメの頃は、待機任務中だ。朝が多少ツラくとも、朝マズメを狙った方が良さそうだ。
せっかくなら、釣れた方がいい。その方が面白い。釣れない釣りは、酷く退屈だ。
「ねぇ。二人で宇宙に行かない?」
神菜が、奇妙な事を言い出した。
「宇宙に?どうやって?」
「あなたの部屋で。今晩。どう?」
……意味が解らない。
「ねぇ。これでも精一杯アプローチしているのよ?」
「……は?」
アプローチ……って云うと――俺、誘われてる?
神菜の方に視線を向けると、うんうんと頷いている。
どうやら、そう云う意味のようだ。
「おいおい、俺たち、付き合って一か月足らずだぜ?」
「でも、早めに相性を確かめておくのも重要だと思わない?」
意外なほど、神菜は積極的だ。
「……そう云う意味なんだよな?」
「ええ。そう云う意味よ♪」
意思の確認も取った。据え膳食わぬは男の恥、とも言う。……やってやろうじゃないの。
その晩、俺たち二人は宇宙に旅立った。神菜の感想は。
「テクニックと云うか、ご奉仕は合格。でも、昇天した後、フィニッシュはイマイチ。でも中々気持ちの良い宇宙旅行でした」
だとよ!悪かったな、ちっちゃな男で!