第6話 月詠尊大神祭
ログイン30日目にして、やっと――やっと、信者10000人に達しました!
コレを記念して、お祭りを行いたいと思います!
その名も、『月詠尊大神祭』!!
出店の募集もして、設営から何から何まで信者任せだったけど、ようやく俺のお祭りが出来ます!
いやぁー、感慨深いねぇ。
間違っても、『大震災』にはならないでいただきたい。
……いや、俺に地震を起こしたり起こさなかったりする能力がある訳じゃ無いんだけどもさ。
――!そうか、『災』を『祭』にするから、お祭りは験担ぎなんだ!
コレは、お祭り中のお願いには、『LUK』のステータス、奮発しちゃうよぉ~♪
お守りも聖水も十分に作って、どうやら『破魔矢』も人気があるみたいだから、ソレも作って――
って、お祭り中、俺の忙しさが凄まじいー!!
で、でも、最低限、たこ焼きは食べたい……。
――ふぅー、1パックだけだけど、たこ焼きをゲット出来たよ♪
でも、別にたこ焼き食べたさにお祭りを開催した訳じゃ無いよ?ホントだよ?
そして、お祭り期間中に集まったお賽銭が、何と――約12000金!!
やったね!コレでしばらくお金には困らないよ?
あー、でもそっかー。神社の拡張とか、修復だけでも結構な金が飛ぶから、『余裕』と云うにはまだまだ足りないかー。
……実際問題、有名どころの、それこそ天照大御神様とかのお祭りの時のお賽銭とか、どの位なのだろうか?
間違い無く、桁は違う。それも、1つや2つじゃない。
数千万?ひょっとして、億に届く?
その位、天照大御神様は人気と云う事だろう。
良いなぁ……。多分、リアルでも『収入の大きな差』はあるだろう。
今でも、『真実の世界』では、『神々のお祭り』は行われているのだろうか?
残念ながら、ソレを知覚する能力は、俺は薬物によって封印されているんだよなぁ。
いやぁ、でも、見えたら見えたで『幻覚見えるヤベー奴』だと思われるだろうけど、何とか、知覚できる程度の能力を備えたまま、服薬していたかったねぇ。
あとはその能力の制御の問題になるとは思うのだけれど。
実際には、主治医の許可が下りないとは思うけれどね!
だから、俺には麻薬の類に走る人の気持ちが、少しだけ分かる。だからと云って、それを容認は出来ないけれども。
俺の場合、5日程服薬を止めたら幻覚を見るようだ。だけど、その風景にも必ず何らかの意味はあって。
俺の見た幻覚では、十二支の神々の化身が、お祭りを行っている場面だったのだ。まぁ、艮・巽・坤・乾の四柱も居たけれど。
ああ、しかし、お祭りも終えてしまった。
また、一定期間を置けばまた開催出来るみたいなんだけど。
なら、次は何をするべきか。
――ん?戦闘?そんなもの、軍神達に任せてしまえ!
で、だねぇ。俺、ちょっとピーンと来ちゃったんだよねぇ。
俺は『月詠尊』だから、ツキを読める。
多分、ピンポイントで『宝くじ』の大当たりを引き当てられる!
残念ながら、このゲーム内にロト籤は無い。
だから、ピンポイントで買うべきタイミングで当たる枚数を買わなければならないのだけれど。
タイミングを見計らって、『宝くじ売り場』に並ぶ。
「バラ七枚」
たったそれだけで十分だ!
当選日まで、ただ何となく過ごす。願いを叶えたり、信者を増やしたり、レベルを上げたり、ステータスを上げたりしながら。
そして、当選日!
見事、一等的中!7億金!
――待て待て!そんなに金があっても、何に使う?!
神社の改修?否、そんなに社は古びていない。むしろ、俺が『月詠尊』になった時に建てられたばかりだ。
ああ、そうだな。しばらく、人々の行き交う様子を眺めているのも、このゲームの楽しみ方の一つなのかもな。
繰り広げられる物語を見守りながら、俺はしばらく余裕もあることだし、ただ漠然と過ごす事を決めたのだった。