第2話 ゲーム内ゲーム
取り敢えず、デイリーミッションを確認しよう。
『怪物退治10体』『人の願いを叶えよう』『信者を10人増やそう』『他の神様にお願いしに行こう』『デイリーミッションを全てクリアしよう』で、計5つだ。
それぞれ報酬は、『ステータスガチャ券一回』『お賽銭』『神格経験値』『信者10人』『マナガチャ券』だ。
今日はまず、他の神様にお願いしに行こう。
因みに、このゲームは日本の神様だけじゃなく、外国の他の神話の神様も存在する。
なので、今日は『アルテミス様』にお願いに来た。
願う事は、『もっとツキを良くして下さい!』と云うもの。そしたら、LUK+10の効果を得られた。うん、月の神様と女神様の間で、仲良くしておこうよ♪
で、その報酬で信者が10人増えて、デイリーミッションももう一つクリアして、『神格経験値」が上がり、レベル17まで上がった。
思うんだけど、デイリーミッションを繰り返してクリアするだけのゲームになると、つまらなくなると思うんだよな。
俺は、月詠尊として、楽しくゲームがしたい。
とりあえず、怪物を退治していくのは、目的の一つにするのもこのゲームの遊び方だとは思うけど、俺はあんまりそうしたくは無いんだよな。
何せ、怪物に『ダメージ』を与えていく事になるのだから。インターネットに繋がったこのゲームにおいて『ダメージを与える』と云う行為は、インターネットにダメージを与えるのと、イコールでは無いけど、『≒』に近い行為だと思うんだよな。
でも、ミッションをチラッと確認すると、怪物を倒す系のミッションがズラーッと。コレ、大丈夫なのかね?
取り敢えず、現段階では避ける。
そうなると、次に多いミッションが、採取系とか、願いを叶える系のミッションだ。
願いを叶えるのは面白いかも知れない。――そういや、志那都比古様にお願いしたら、風が優しくなったな。良い事だ。
さて、叶えて欲しい願いをザッと見てみよう。
――うん。大漁祈願と、ツキを良くしてくれ系の願いが多い。一つ一つ、叶えて行こうかね。やれやれ……。
良し良し、良い具合に神格経験値が入って来る。で、LUKのステータスを上げてやっても、別に自分のLUKを消費する訳じゃ無い。
ただ、俺のLUKが未だ低いせいか、一回に1ポイント位しか与えてやれない。――となると、アルテミス様は少なくとも俺の10倍のLUKを持っているのかな?どうだろう、今後に向けて、検証して行こう。
他の神様と云えども、プレイヤーキャラクターではあるんだよな。始めたばかりの俺と比べれば、そら、ステータスも文字通り桁違いだろう。
で、『10人の願いを叶えよう!』と、『10回願いを叶えよう!』のミッションをクリアして、お賽銭と神格経験値を入手し、レベル20に至った。
そしたら、自らの神としての能力で、イベントが開けるようになった!
内容は、『ナポレオン』と云う名のトランプのゲームの、勝者にLUKを与えるイベントだ!
とりあえず、自分も参加してゲームを始めてみた。
すると、参加者が殺到した。LUKが10上がるだけのゲームなのに、凄い人気だな。
まずは、先着四人とゲームをする。
このゲームは、『10』『J』『Q』『K』『A』のカードを奪い合うゲームだ。
JOKERを一枚加えた53枚のカードをシャッフルして10枚ずつ配り、残り三枚は中央に置く。
そして、奪い合うカードの、目標枚数を競って、ナポレオンを決める。
「17枚!」
最大で20枚なのだから、この目標はかなり高い。だが、手札が良い。勝負に行けた。
無事にナポレオンを取る。中央の三枚を手札に加え、三枚を破棄し、その三枚は今回のゲーム中、使えない。
「切り札、スペード。副官、スぺキュレーション(スペードの『A』)!」
そして、他のスートより強い『切り札』のスートを決める。本当は『トランプ』って、この『切り札』を指す名前なんだよなぁ。
勿論、手札に多いからスペードを切り札に選んだ。あと、切り札の『J』である『聖ジャック』と、切り札と同じ色の、クラブの『J』である『裏ジャック』も持っているからだ。コレラのカードは、非常に強い。
そして、副官を指定するのに、所持しているカードを一枚指定した。スぺキュレーションは、スートには縛られるものの、カードとしては最強のカードだ。副官と云う仲間にするに相応しい。勿論、スペードの『A』を持っている者が、密かに副官として選べる、と云うシステムだ。
そして、俺が最初の親になって、ゲームを始める。
まず、手札からJOKERを出す。初手の時に限って、スートを決められるので「スペード」と宣言をする。
そして、時計回りに一枚ずつカードを出して、カードの強弱を競って一周で勝った者が、出されたカードを獲得する。但し、コレは『ナポレオンになったプレイヤーサイドが目標枚数を獲得出来るか』と云う基準なので、ナポレオンか副官が入手したポイントカード以外は、単に獲得を防いだ、と云う事実に繋がるだけだ。
そして、直後にスペードの3を出され、JOKERは始末された。『JOKER』は、『スぺキュレーション』『聖ジャック』『裏ジャック』に次いで強いカードであり、場のスートに縛りに影響されずにいつでも出せる代わりに、直後のプレイヤーに、『場のスートの支配』に対し逆らう事は出来ないが『3』のカードを出されたら、その『3』に負けるのだ。ローカルルールだが、その場合の『3』は、『JOKER』に代理する強さを得る。
因みに、場のスートはそのターンの最初に出されたカードのスートに支配され、そのスートのカードを持っていたら、『JOKER』を代わりに出すので無い限り、そのスートのカードを必ず出さなければならない。逆に言えば、そのスートのカードを持っていなければ、『JOKER』に対して他のスートの『3』で勝てる。
一応、想定内の展開だが、続いてスペードの『Q』『K』と出されてのピンチに、「無能ナポレオン」との不名誉なお言葉の代わりに『スぺキュレーション』が出されて、副官が判明してしまったが、想定内でベストな展開だった。
因みに、カードの強さの順は、強い方から順に、『スぺキュレーション』『聖ジャック』『裏ジャック』(『JOKER』を殺した『3』)『JOKER』『伏兵』『切り札の『A』から順に、『K』『Q』『10』以下は数字の大きさの順』『場のスートの『A』から順に、『K』『Q』『J(裏ジャックは例外)』『10』以下は数字の大きさの順』となり、『伏兵』は、『親プレイヤーが出した『2』が、一周、全員同じスートのカードを出した場合に強さを発揮する』となる。
そして、ターンに勝利したプレイヤーが次の親になる。
と云う展開で、恵まれた展開で勝利を収め、俺と副官の『ルナ』さんがLUK+10ポイントの報酬を得る。
コレは良いな。別ゲームしている気分にも半分なりかけるも、報酬が美味しい。
とりあえず、希望者がまだ大勢居るので、三回回して、『副官』『連合軍』『ナポレオン』の順に立場が回って来て、全て勝利。LUKが30ポイントも上がった。
なので、俺はその後、他の神様が開催しているイベントを探し、それらに参加して、勝った時には報酬を貰えたのだった。
いや、『席取りゲーム』とか、十人以上が集まって競って、一位がAGI+20ポイントで三位以内がAGI+10ポイントとか、三位に入るのも大変だったんだよ?
コレは、好みのゲームが見つかるまでやっても良いイベントだね♪と思ったのでした。