第23話 エンジェル対フラッド
「分かりました」
先程と同じ要領で召喚が行われて、召喚されたエンジェルと、今度はフラッドの戦いになった。
二人の戦いは、空中戦。呪文を唱えなければならない分、フラッドが出遅れたが、対等の魔法戦を繰り広げていた。
「彼女、優秀な魔法使いですね」
エマのフラッドに対する評価は高い。
「僕にはさっぱり分からないけど」
「俺もだ。が、アンタの方が優秀に思えるんだけどなぁ、クィーリーさん」
トールが苦笑いしながらそう言うのは、今まで優秀と思っていたフラッドを、クィーリーが上回ると云う更なる事実を認めなければならないと云う、複雑な心境からだろう。
心境が複雑なのは、トールが自分よりフラッドの方が優秀だと認めている、いや、認めざるを得ない事実に、過去、悔しい思いをしたという背景もある。
「……何故?」
「フラッドと対等に戦えるエンジェルを、何体も簡単に召喚出来るんだろう?
それを普通に考えたら、フラッドよりアンタの方が優秀ってことになるんだろうが」
「まぁ、仮にも私はエンジェルですしね」
「体術でも、僕より上なんですよ。
魔法もとんでもない威力を誇っているし、多分、この四人の中で一番優秀ですよ」
「ほう……。『風の英雄』のお墨付きかい。俺たちゃ、幸運だったのかも知れねェな。そんな仲間に出会えたとは」
「まだ、仲間になるとは決めていませんよ」
「『デビル仲間』って言い方をした方が正確か?」
「ああ、そういう意味ですか。
……ん!決着が着きますね」
見上げれば、フラッドの掲げた両手の上に一つずつ、火の玉が浮いていた。
まずは左手の方の火の玉がエンジェルに当たって爆発すると、第二波の火の玉が防御されること無くエンジェルを包み込んだ。
両者は降下を始めるが、一方は力尽きての降下と言うより落下。一方は決着が着いたのを確信し、戻って来ただけ。
「いかが?」