第97話 5重に『No.1』
今年の1月1日は、少なくとも5重に『No.1』であった。
1月も1日もそうだし、年としては『甲辰』、『甲』は十干の一番目だ。
1月1日と云う日が、十干十二支で言うと、『甲子』の日だった。
『甲子』の『甲』は述べた通り。『子』は十二支の一番目だ。
かつて、『七つの大罪』と向き合ったときに、無意識下で、「全部背負う!」と意気込んで、2つだけ失敗した。
即ち、俺は5重に魔王、そう、5重に『No.1』であったのかも知れない。
ああ、だからか。
背負い損ねた二つは、『嫉妬』と『暴食』。
正確には、父が一つ背負っていてくれたのだが、今は亡きが故に引き継いでしまったのだ。
ならば、勝ち目があろう筈がない。
――否、『ファイブカード』と考えれば、強いのか……?
そして、令和6年6月6日。月は辛巳、日は辛丑らしい。
恐らくは、地球の何処かで大災害が起きる。
根拠は、『666』と云う『サタンの数字』。
因みに、場所は日本とは限らないし、災害も震災とも限っていない。
まぁ、これだけ曖昧な予言ならば当たるであろう。
ただ、大規模な災害でなければ、その予言は外れと見做して構わない。
でも……もう、苦しみたくない。
外れてくれ、その予言!
半年単位での無茶振りも、もう止めてくれ!
そんなに頑張れる体力は無い!
ああ、こんなツキに産まれるのでは無かった!
もっと、優しくありたかった!
そして、もっとタフでありたかった!
自殺未遂を繰り返すのも当然だった!自分で自分を呪ったのだから!
ああ、現実から目を逸らしてばかりいた!
夢に生きようとしていた!
それが、こんなにも苦しいものである事に目を向けずに!
『産みの苦しみ』。ああ、昔はもっとグルーヴがあった!『ライターズハイ』なんぞと嘯いていた!
ソレを仕事にしたが故の苦しさか!
後に続く者に告ぐ。
予想以上に苦しいぞ、と。
それでも良いならば、続くが良い。
自業自得なれど、『呪い』なぞ掛けるのでは無かった。
勇者に絆されて、『呪い』を掛けるのが何よりの間違いだった。
やはり、不倶戴天の敵。
だからと云って、勇者に呪いなぞ掛けはしない!
ソレが、そのまま自らの身に返って来るものだと判っている以上はな!
そもそもが、自らを『勇者』なぞと云う時点で、傲慢なのだよ。ルシファーなのだよ。
痛い目に遭って懲りた。
ただそれだけの、事なのだがな……。