音楽祭スタート♪♪

第25話 音楽祭スタート♪♪

 音楽祭は、バルテマーも楽しみにしている。

 その為、万が一にも中止と云う事態にならないよう、バルテマーが息の掛かった数名を、他の学生が音楽祭やその練習を邪魔しないよう、手配していた。

 その事は、ローズ達は知らなかったが、管弦楽部には伝わっていた。

 故に、この数ヵ月、管弦楽部は必死の特訓を積んでいた。

 故に、ローズ達と合わせて演奏する際に、その精度の高さに、ローズすらをも驚かせた。

 そして、ローズから言われた、「アドリブも利かせるようにお願い致しますわ」との言葉に、部長は蒼くなって「最善を尽くします」と答えた。

 合わせての練習は、まずはデッドリッグが合わせ、一回で巧くいったため、デッドリッグに席を外して貰うよう、ローズからお願いがあった。

 言われたデッドリッグは、「何かサプライズでも考えているんだろ」等と思いながら、大人しく席を外したのだが。

 放課後だったので、寮に戻ったデッドリッグが、音楽室からほんの僅かに聴こえる曲を聴いて、「いや、明らかにカーラ以外も歌っているだろ」と気付いた。

 気付いたが、本番まで指摘しないのが、デッドリッグなりの優しさだった。

 そして、ヒロイン達は本番に向けて、衣装も用意している。

 ソレだけは、ヒロイン達も妥協は出来なかった。

 そして、差し迫った音楽祭。

 リハーサルが行われる事となった。

 体育館の鍵を閉め、ステージに立つ皆。

 本物のライヴかと思うと、デッドリッグも身震いする。

「ローズ、半端なリハはするなよ。

 本番と同じ進行でリハをしろ」

 ローズが顔を曇らせて。

「もしかして、バレてしまっておりましたか?」

 デッドリッグはしくじった。本番まで指摘しないつもりで居たのだが。

「ああ。全員歌うんだろう?」

「ええ。殿下にバレているなら、秘する必要はありませんね」

 ローズは、長く息を吐き、そして吸った。

「では、皆さん。本番と同じ様に進行しますわよ!」

 先ず、ローズがその美声を発して歌い、演奏した。

 歌い終えると課題点を洗い出して次へ次へとボーカルが代わって歌い演奏し、デッドリッグも歌ったし、ルファー達も歌い演奏した。

 今は観客が居ないからルファー達以外は落ち着いているが、コレでお客が入ってその反応を観れば、十分に感極まって、グルーヴを感じられるだろう。

 ルファー達は、リハの時点で感極まっていたが。グルーヴまで既に感じていたか否かは疑問だが、本番は比では無いだろう。

 そして、リハを終えて夕飯を済ませ、翌日の本番に備えて眠ろうとしたのだが。

「……眠れねぇ」

 他の皆もそうだろうか?──そう思った矢先。

 コンッコンッ。

 ドアをノックする音が聴こえた。

「──はい」

『殿下、ワタクシです。部屋に入っても宜しいでしょうか?』

「……!」

 デッドリッグは、半分忘れていた。今日は、ローズの番の日だ。

「入れ」

「失礼致します」

 ローズは、既に顔を赤らめ、既に高揚していた。

「本当は、明日が本番だから、今日は控えようかとも思ったのですけれども……」

「──眠れなかった、のか?」

「……はい」

 デッドリッグはベッドに座り、隣をパンパンと叩いてローズをソコに座らせた。

「この様子じゃ、誰も眠れていないな」

「ええ。ワタクシは……その、殿下と致した後に、気持ちのたかぶりが収まれば、眠れると思うのですけれども……」

 そう言って、ローズはチラッチラッとデッドリッグの様子を窺った。

「──俺も、少しばかり昂っていて、しかもこの若い肉体でな……」

 デッドリッグは、「我ながら最低なセリフを言うな」と思いながら、こう言った。

「絶頂まで導いてやるから、順番に呼べ。全員愛してやる!」

 そう言ってローズに襲い掛かるが、ローズは辛うじて悲鳴を上げなかった。

 行為そのものは30分足らずの短い時間であったが、ローズは不覚にも一瞬意識が飛ぶ程で、フラフラしながら帰って行った。

「大丈夫かな?次の娘、声掛けしておいてくれるかな?」

 デッドリッグは自身の快楽よりローズの快楽に合わせてやったが故に未だ余裕があったが、流石に6人を相手にすると、疲れそうだなと思った。

 そして、ローズはキチンと次の娘に声を掛けてくれたようで、10分ほど待つとやって来た。

 そんなこんなで深夜までイチャつき、それが済むと泥の様に眠った。

 翌朝、妙にスッキリと目が覚めた気がしたのは気のせいか。

 兎も角、音楽祭の日の朝を迎えて、学食に朝食を摂りに行くと、妙に艶々つやつやした6人のヒロイン達が、元気に挨拶して来たので、デッドリッグも元気に返す。

 席は八人掛けのテーブルを一つ確保して、皆で朝食を済ませるが、これから、彼女たちは『アイドル』に変身しに行く。

 デッドリッグも、何故か要望された燕尾服えんびふくを着て体育館に向かうが、『関係者専用』と区分けしていたから無事にステージ裏に辿り着いた。

 そして、何故か女性陣6人がウェディングドレスを身に纏ってチューニングを行っていたが、デッドリッグにはその意味が良く判らない。

 ──即ち、デッドリッグは知らない間に、今日のこの音楽祭を、結婚式に代えようとヒロイン達はたくらんでいたのだった。

 更には、その状況に於いて、バルテマーは最前列のど真ん中の席に陣取っているのであった。

 コレは、ただ事では済まない。デッドリッグは今更ながら、そう気配を感じ取っているのであった。

『皆さん、それでは唯今より、音楽祭を開催致しますわ!

 ミュージック、スタート♪♪』

 そして、ローズの合図を皮切りに、音楽祭が始まるのであった。