第62話 限界レベル
一旗揚げる方法は判った。
具体的にどうすれば良いのかは判らないが、判った。
無条件幸福すれば良いのだろう。――ん?誤字では無いぞ。『無条件幸福』だ。
『百八個の罪』ではなく、『百八個の煩悩』だと?ソレは、『凡能』では能力は『百八個』しか無いと云う事だろう。
『凡能』を超えるには?勿論、『万能』だ。文字通り、『一万個以上』の能力を持っていなければならない。
その間は?さぁて?『洗脳(千能)』では無かろうか?
――そうか。『洗脳』状態を乗り越えるには、『万能』に届かなければなるまいか。
――!――そうか。あの瞬間、一瞬とは言え、『万能』に届いていたのか。恐らくは、『数字』の持つ意味を考えた結果。
だが、かなりの数の能力が損なわれている。――老化していると云った方が判り易いだろうか?
何度か、数える程の回数だが、『万能』に届いていた。
――だが、『呪い』の方が強かった。
成功の出目の殆どは失われた。コレを超えるには、『クリティカルヒット』しなければならないだろう。
『不可説不可説転に一つ』も無い『クリティカルヒット』を、出せる可能性は甚だ疑わしい。
だが。信じなければ何も始まらない。狙って出すんだ、『クリティカルヒット』を!
――閑話休題。
疾刀は、『LI-A1』を無事に隼那や恭次に届けられた。
ならば、次にする事は。
「極端化の実験をしてみようか♪♪」
その際、最大値は『100%』では無い。
例えるならば、『根性』だろうか。『レベル10を超える能力』を引き出す実験もしなければならない。
違う要素を犠牲にした結果、どの値の最大値が『何%』なのかは判らない。
『根性で引き出せるレベル』の最大値が幾らなのかは、ひょっとしたら固定値では無いのかも知れない。
だが。『100%』を超える事が恐らく『確定情報』ならば、ソレに応じた処理をプログラミングしてやらなければならない。
その時に応じて変化する数値ならば、『変数』を割り当ててやれば良い。
問題は、限界値がどの位なのかを確定させなければならないが、恐らくは、『ゲート』を防げるレベル、『30レベル』を一旦の限界値として定めてやれば良い。
もしも余裕があるのならば、恐らく『100レベル』は恐らく越せはしまい。『100レベル』で処理すれば良い。
――等と、疾刀は考えていた。
設定する値は、防御力、防御範囲、維持力、維持時間、再起動時間、発動開始時間、防御力維持曲線値、防御力一時強化値、他、見た目に関する設定等もある。
そのそれぞれで極端化する。尤も、極端化する意味のない値もある。
だが、その時の発揮する性能が如何程のものであるのかを確認する為にも、試作段階ではそれぞれを極端化しなければならないだろう。
そうなると、最大レベルを『レベル100』とすると、多少の不都合が出る。
かと言って、最大レベルを下げ過ぎるのも良くない。
ならば、『レベル70』位が現実的に最大レベルとして良さそうだろうか。
そう考えて、疾刀は出力実験をしてみることを決意した。
尚、その実験によって、その時々で数値レベルが不安定で、安定して出せるのは10レベル、30レベルを超えるのはそれを期待するのが馬鹿らしい頻度と云う結果になって、疾刀が頭を抱えるのは後の話である。