第15話 降伏を求める使者
この世に平和を――
等と嘯きながら、世界を破滅へと導いている、プロのクリエイターの何と多い事か。
後に改心して挽回する作品のクリエイトを行う者も居るようだが、その時の『気持ち良さ』で後に『気持ち悪くなる』と云う、何と残酷な運命よ。
露も、『気持ち悪い』事に気付けば、戦争行為を止めるのかも知れないが、その領域に辿り着いた痕跡も無い。
『北海道の領土』問題の発言を撤回しない限り、必ずや日露は戦争に至る。
そして恐らくは、日本の政治家の生温いやり方に業を煮やした自衛隊が、軍事的クーデターを起こして、本格的に露に侵攻する。
露は別に、その事が脅威では無いから、発言を撤回しないのであろう。
だが、第二次世界大戦の例を見れば明らかだろう。
日本は敗北を覚悟しても、奇襲で一矢報いる事は。
そして、ソレに『クルセイダー』が協力したら、モスクワは火の海に沈む。
ソレでいいのか、露⁉
否、そんな奇襲を許さず、先に奇襲を仕掛けると考えているのが露で、『アーンギル』はその先遣部隊だろう。
だから、隼那は負ける訳にはいかない。
まず、テレパシーのネットワークを築いた。
そして、ヴァルキリー部隊を動かした。
ソコからは、一方的な蹂躙だった。
露人は、ゴブリンやオークがそう言われるように、平気でレイプをする。
だから、女性ばかりの部隊であるヴァルキリー部隊は背水の陣で闘いに赴いた。
男は活躍しないのか?
否!恭次が『Alexander』を手にしている。ネットを組めば、一時的に使える者が多数出て来る。
ココは漢を見せる時だ!
恭次を始めとしたアレキサンダー部隊は、窮地に陥ったヴァルキリー部隊を多く救った。
中には、クルセイダー内で付き合っている男女も居るのだ。ココで漢を見せなくて、いつ見せると云う話だ。
だが、ココに来て、一人の露人女性、それも『アーンギル』で強い発言権を持つ女性が白旗を挙げて、無条件降伏して交渉を持ちかけて来た。
「私のところへ寄越しなさい!」
隼那が代表して相手取る。
『アーンギル』の女性は、アグラフィーナ=メドベージェフと名乗った。
「降伏の交渉に来たと見てよろしいかしら?」
アグラフィーナは首を横に振った。
「大統領命令で、『死んでも北海道を奪って来い』と言われています。
其方にこそ、降伏をしていただきたくつもりで、交渉に参りました」
「へぇー。『死んでも』、ねぇ。
なら、『アーンギル』の人は皆殺しにしても良いってことよね?」
「ちっ、違――」
その先を、彼女は言えなかった。報告を受けて帰還した恭次の『Excalibur』によって斬り下ろされてしまったが故に。
「皆、聞いた?手加減無用よ!向こうは全員、死ぬ覚悟は出来ているそうよ!
最期の一兵たりとも残しちゃダメよ!」
「「「おう!」」」
戦闘が激化する事は、火を見るより明らかであった。