観光立国

第34話 観光立国

 『徳側(徳川)』が家康の家系なら、『損側』は『尊師』と言わせたアイツなのかと、今更になって思う。

 そう、アイツは『損』をすることを恐れなかったのだ。恐らく、『損して得取れ』の言葉にあやかっているものと思われる。

 だが、やはり『死刑』になり、『生きる』と云う『得』を得る事は出来なかったのだ。

 ただ、『生きる』と云う事に絶望している者は多い。特に、心を病んでいる者の中に。

 恐らくは、2026年の『丙午』に対して、漠然とした不安を持っているのだ。

 国際情勢も怪しい。特に、社会主義国が。

 何故、侵略しようと考えるのか?自国を富ませる為に、徹底的に開発した方が良さそうなものだが。

 所詮、侵略してもロクに開発しないのなら、領土を得る事は一時的な満足感を覚えるだけで、実利が無いのを、判っていない。

 北海道は観光地として有力だから、ロシアとしては、ソレが欲しい?

 まず、先に自国を観光地として有力になるべく努力した方が近道だ。

 ソレでも満足しないなら、ロシアはいつまで経っても他国の領土を欲しがる、強欲な国となる。

 世界の全てを手に入れても、きっと『未だ足りない』と言い出すに違いあるまい。

 有限な資源を元に開発を進めて、自国の領土を富ませれば、達成感もあるだろうし、人に恨まれずに得を得られる。その得は、『徳』にも等しいのかも知れない。

 民主主義国は、今は経済戦争の真っ只中だ。ロシアはソコに付け入る隙が無いのが悔しいのだろう。

 当たり前だ。日本が国として富む為に行った努力、中国が為替レートの特別なルールを敷いたズルいやり方から、模倣を基に経済戦争のトップを走っているのとは、訳が違う。

 しかも、中国はその為替レートのルールを取っ払う事によって、瞬間的に莫大な経済力を得る事が可能なのだ。ソレは、中国が仕込んだ『切り札』だ。

 その莫大な経済力を以て、台湾を『購入する』と云うなら、認めても構わないのではないかと思う。

 ただ、その金額は、垓ドル単位のものになるかと思われる。

 北海道?不可説不可説転円単位の金額が必要では無いか?

 北海道は、俺たちが貰い受けたギフトだ。安く売ったりなどしない。

 自国を限界まで富ませて、未だ足りないと云うなら、領土を求める気持ちも判る。

 だが、戦争状態の国になど、観光客は行くまい。

 まずは、停戦して平和的に交渉してロシア&ウクライナ間の国境線の再設定が最優先なのでは無いか?

 それを果たしてから、ロシアの観光立国策を練ればいい。

 難しい?それはやりがいがあるとも言うのだよ。

 まずは、模倣から始めてはどうかな?

 幸い、海洋資源は十分にありそうだし。

 オーロラが見れるなら、ソレだけでも、観光客が来る可能性があるのだ。

 観光立国をしてから、よーく考え直して検討すると良い。

 きっと、ロシアは開発を進めれば、世界でも屈指の経済力を持つ可能性があるのだから。