第39話 見守り
「考えてみりゃ、朝は酷く孤立しているな」
「どうして?」
恭次の疑問に、隼那が問い掛ける。
「だって、『BRICS』にも加えられなかったんだぜ?
もしかしたら、『BRICS』は朝の『敗北』と云う運命を畏れたのかも知れないな」
「じゃあ、北海道も『敗北』の運命なの?」
「いや、ソコは『勝北』だろう。
あの金字塔の漫画が、一生懸命、『最大の脅威には勝てる』と云う運命をお導きになったのだろう。
ただ、次の脅威に対しては疲弊していて負ける、って伏線だったがな……」
「『ショーホク』って、あのバスケの?」
「ああ。だから、露に戦争で勝った後に、韓による実効支配を逃れられないのだろう。
だが、軍事力ではなく、経済力による取り込みだ。ついでに、宗教も関係しているようだが、宗教は狂気の断片だからなぁ……。
そもそも、『七元徳』も怪しいんだよ。『七つの美徳』は、ある程度認めざるを得ないがな。
そりゃ、修行に近い行いを徹底しているのだったら、『美徳』と認めざるを得ない。
ただ、『七元徳』は『勇気』『正義』『信仰』の三つが、かなり怪しい。
ソレを美徳と云うのなら、ロシアがウクライナに戦争を仕掛けたのが『勇気』によるもので、勝利すれば『正義』であり、『信仰』に従って行動した、と云う屁理屈が通っちまう。
そんな美徳ならば、ソレはこの世に要らない」
「そうね。きっと、キ〇〇ト教をこの世に広める為に、戦争を躊躇う気持ちを取り払う為に定められた美徳なのかしらね」
「あの阿呆も、警察に『大量の犠牲者が出ます』と宣言していたクセに、コロナ禍程の大規模なパンデミックによる犠牲者は、想定の外のようだからな」
「でも、『ベルゼブブ』と『リヴァイアサン』に関して言えば、自らその大罪を求めるかのように、あの二人に持って行かれたのは、何故なのかしら?」
「単純に、あの阿呆が気付くのが遅かっただけだろう」
「ホント、『呪い』をプログラミングするとか、頭が悪いにも過ぎるわ」
恭次が、ちょっと黄昏てこう言う。
「きっと、ずっと前から何となく気付いていたんだよ。
自分が、『8/1,000』のサクリファイスだ、って」
「そんな生温い数字じゃないわ。
少なくとも、『8/125,000』のサクリファイス、下手をすれば、『8/1,000,000,000』のサクリファイスよ。
とっくに覚悟は決まっていた。でも、自ら呪いを自分にも向くように仕込んだのは、きっと計算外よ」
「計算の内でそんなものを仕込んでいたとするのなら、きっと大誤算だったろうぜ」
「違いないわ」
二人はそのまま、その阿呆が帰宅し、その後もずっと、それが任務のように見守っていた。