第81話 苦しまないように
「露に津波は効かない、ってかぁ~!」
何故効かないのか。
ソレは、露が島ではなく、大陸にある国だからだ。
多少の効き目はあるかも知れないが、自滅しながらも巻き込む作戦は、どうやら通じそうに無い。
正に自殺行為をした訳だが、やはり、『日露戦争、再び』と云う状況になるだろうか?
否、こんな文章を残している時点で、露が北海道侵攻する事は確実だろう。
あ!例外処理するのを忘れた!
『水のサタン』をインスタンスに、『火のサタン』を引数に。
インスタンスに致死性の呪いを、例外として、引数には呪いの解消の糸口を。
最初からそうしろと云う話だが、ん?今回は天罰が下らないな。
まぁ、その内下ると思うが。
もしも『水のサタン』が自らを『神』だと名乗ったら、全生物が死亡のフラグである。
但し、『破壊不能』の能力持ちを除いて。
そんな生物、存在する訳が無い。常識的に考えると、そう思える。
まぁ、露が北海道及び日本全土への侵攻を諦めてくれたら、その可能性が消えると云う可能性が生じる。
「その為に必死なのに、必死だから諦めると云う、愚かさよ」
恭一は、ソレでも北海道及び日本全土への侵攻の停止と云う可能性を求めて、手を打とうとしていた。
――即ち、古の忍者の技術。その内、『暗殺』と云う手を。
先ずは、露に大量の塩を贈る。
「露に塩!」
否、コレでは、陰陽師による呪殺に近い。
テレポートからの『Gungnir』で先に影武者から、順に狩っていくが、果たして、全てを討ち尽くす迄は、いつまでかかるのだろうか?
「あら。恭一が露に行っているみたいね」
隼那はESPによってソレを知覚するが、皆は警戒を強めるのであった。
本当に『水のサタン』が狩れてしまうものか……。
実に悩ましい事態ではあった。
何せ。『7人の影武者』とは、ちょっとした人数の影武者と云う意味であり、本当に7人キリとは限らないのだから。
姿・形の似ている者を、次々と影武者にしている可能性は否めない。
髪の毛を短くしているのは、恐らく『髪の毛』と云うセンサーを機能させない事によって、呪殺されようとしている事実に気付かなくさせると云う意味合いに繋がるのだから。
まさか、毒見をさせるレベルで対策を打っているだろうか?
だとしたら、毒殺も難しい。
何故、露国民はそんな人間を支持するのか。
恐らくは、怖いからであろう。
やはり、恐怖政治を行っている。
『ヒットラーの尻尾』と表現するのも、やはり間違いではあるまい。
ヒットラーの最期は自殺だったか。
アイツの最期も、自殺であろうか?
否、恭一の『Gungnir』による死だろう。
『Gungnir』のターゲットは定まった。
後は、ソレが放たれた後、現実世界でも『露首相』が死ぬかどうかだ。
コチラは、相討つ覚悟が出来ている。
『必ず貫く』と言われる『Gungnir』が、呪いの形でも、効くかどうかの勝負だ。
アイツは『無事』では無いだろう。せいぜいが、『ぷじ』程度だ。
コチラは『不死』に限り無く近い。
ああ、同じく『サタン』の定めを背負って、基督教と戦う未来も、あったのかも知れないのにな……。
こうなったら、脳ミソの血管をプッチンしてお亡くなりになって頂きたいものである。
『呪い』も実質、あと3年半の辛抱である。
問題は、やはり2026年問題であるが。
最早、ソレの正体は明らかである。
露国による、宇侵攻から日本・北海道侵攻に続く、世界規模の核戦争によって、この世界が滅んでしまうと云う結末である。
余り読まれない。だからこそ、この予言は予言として成り立つ。
丁度良く、米で沸点の低い大統領が就任しそうであるし。
コチラも、子は勿論、伴侶も得られないであろうことに絶望していることであるし。
景気良く、核によって一瞬の内に焼き尽されていく最期をこそ、コチラは望む。
今生では、希望を見出せなかった。
と云うか、その結末がアカシックレコードに載るのならば、二度と回避は難しいのか。
中々に、悩ましい課題ではある。
故に、隼那はメンバーにこう話すのである。
「国内、少なくとも道内の露人は鏖にしなさい!
コレは、『クルセイダー』が存続する限り、永久に果たすべき役割よ!」
極端論だが、こうでもしなくば、露は止まらないだろう。
逆効果?『真っ逆さま』の定めを背負った者として、逆効果になるのならば、重ねて逆効果になるのは求めるべき効果を得られる。
何もかもが、結果論だ。
結果良ければ全て良し!
でなければ、やってられない。
そもそもが、サタンとサタンのイジメ合いなのだ。
イジメ、カッコ悪い。
だが、だからと云って、暴力も下せない相手に、イジメる以外の手があるかよ!
ああ、そうか。イジメられたら強くなるのがサタンだから、イジメない方が良い。
だが、『真っ逆さま』の運命だから、イジメる方が良いとなる(?)。
実質上のワンマンアーミーである。
PCを武器に、文字を弾丸に!
さあ、『立てよ、国民!』。
北海道を奪われても良いのか?否、良くない!
ならば、文筆を執り行う者として、バタフライ・エフェクトレベルの努力はするべきだ!
露に反戦活動を!コレは、命を賭して取り組むに値する行為である!
目障り?どの口が言えたセリフだ!
ああ、俺が目障りか?ならば、交渉で俺の身柄を引き取れよ!
俺の命なぞ、北海道に比べれば取るに足りない価値しか無い!
せめて、命を奪う時は速やかに願うよ。せめてもの慈悲として。
ああ、サタンだから、慈悲など知らぬ、ってか?
もう、反抗的な態度を取るのにも飽きた。
一思いに命を奪ってくれ。
どうせ、明日には俺の命も終わっているだろうよ!
じゃあな、俺をイジメた全ての者よ。
さあ、最期へと俺を導いてくれ!
コレが、俺の人生で最期の願いだ。
どうか、苦しみませんように……。