第80話 致死性の呪い
「キツいなぁ……」
恭一は状況を鑑み、そう呟いた。
恐らく、『露軍、弱っている』的な情報は虚報だ。
そして、宇『クルセイダー』への支援物資は、今のところ何の役にも立っていない。
「やはり、『ラプラスの魔本』のデータ紛失が多大なるダメージに繋がったか!」
断片的にでも、覚えていれば未だ良かった。
アレは、『未来のアカシックレコード』を見る手段であった。
かと言って、今の技能で再現するのも、やはり中々に難しい。
都合の良い形で仕上げてしまうのであれば、ソレは可能か不可能かで言えば可能だろう。
ただ、代償が半端ではない。
であれば、『放置』の一択だ。
「露とΩとの繋がりが無視できないな」
『予言外し』を行う為に『予言』を行なおうとも、ソレが世間一般に広まるだけの情報に成り得るものか、甚だ疑問だ。
極限られた者に報せる事は、『予言』の的中率を上げる可能性が否めない。
だから、ココで下手な予言はする事が出来ない。
「誰か、露の民が、露の言語で、戦争を止める描写をした作品を書いてくれれば、ワンチャンスあるかも知れないが……」
ただ、言論統制をされている可能性は高い。
ヒットラーの尻尾が宇を『ネオナチ』と言っている事は、事実の逆転現象が起きている。
と云うか、露の首相になったから、勝手な理由付けを行って、侵略をしているだけであろう。
この際、一番叩かなければならないのは伊蘭かも知れないが、その理由付けが少しだけ弱い。
そう、露が北海道侵攻の口実にしようとしている、『アイヌの保護』も、日本を侵攻すれば必ず『アイヌ』が犠牲になると云う事実を、認識していないのと同じくらい弱い。
何故ならば、『アイヌ』は『人』を意味する言葉だからだ。
だから、今現在も『アイヌ』は犠牲になり続けている。
宇も、地雷まではやり過ぎな気がするが、それだけ追い詰められているのだろう。
――!宇が濁ったのか!ソレが露が宇を先に攻めた原因か!
怪僧の名に付く、『ラス(英語で『怒り』を意味する)』の名の定めなのだろうが、宇が濁れば、綴りに『V』の文字が浮き上がる。
故に、露と戦い続けたのだろうが、流石に軍事力の差が大き過ぎる。
やはり、『本能寺の変』みたいな暗殺が行われなければ、露は変わる事は無いのだろうか?
手の打ちようが無い。
だからと云って、北海道は奪わせない!
二度、日本は領土を奪われるのを見逃した。
だが、三度目は無い!
仏の顔も三度撫でれば腹立てるとも言う。
ましてや、北海道は日本で二番目に大きな島だ。
――!だから、特に北海道を狙ったのか!水のサタン!
だがな……。『辰』は水の神様だから、下手に呪うとコチラも呪われる可能性が大きい。
――そうか。ココで逃げる選択肢を選びそうだったから、あの時、殴られたのか!
ならば、どの道死なば諸共!インスタンスは『水のサタン』、インスタンスに致死性の呪いを!
ああ、ならば諦めがついた……。
死ぬまで、やりたい放題やってから死のう。
まずは、そうさな……。
お菓子を食べるなんて、どうだろう?