絶望の果て

第54話 絶望の果て

 言論の自由に付随して、もう一つ、規制せねばならないことがある。

 それは、『命名の自由』である。

 仏教では名付けてはならぬ名が、今、当たり前に名付けられている。

 ソレに関しては、仏教で禁じられている訳では無いだろうが、俺自身の名前も禁じる必要があると思う。

 『卯辰が上がらない』と云うのに、命令を『下す』為に『藤坂 卯辰』と名付けるのは、軽率であったとも思う。

 ――!辰に雨で『震』!地震の前兆になるのか!

 ならば、『雨』を求めてはならぬな。

 と云うか、俺にとっては禁忌が余りにも多過ぎはしないだろうか?

 ああ、その代わりに加護も強力だと云う事か。

 畜生、運命の悪戯が鬱陶しくて仕方がない。

 やはり、俺の運命はオンリーワンの宿命に導かれるのか!

 バッドエンドがオンリーワンの宿命なら、俺はその宿命をも拒む!

 簡単な事だ。あの縁起の悪さの塊を避ければいいだけの話だ。

 と云うか、避けなければならない名前が、日本には多過ぎる!

 一目惚れした相手すら、名前が呪われていた。そりゃ、結ばれないであろうよ。

 ああ、気の毒だな……。来世の俺、またイジメ尽くされて、自殺未遂を繰り返すんだぜ?

 しかも、記憶の持ち越しは無しだ。

 せめて、9歳頃に覚醒すれば、未だ何とかなる。

 出来れば、5歳頃に覚醒して欲しいが、それは無理と云うものであろう。

 つまりは、あの子がまた犠牲になり、そのバタフライエフェクトの結果が、6:1で修学旅行の真っ最中に泣くまで説教だ。

 5歳に覚醒すれば、あんなはんかくさい真似はしない、と思う。

 でも、2歳で覚醒していなければ、記憶の持ち越しが不可能になる事故が起きる。

 保育園でのイジメが最悪なのだよ!ソレで性格が歪んでしまったんだ。双子の方は名前を憶えていないが、『〇崎に塩』だよ!

 ラッキーセブン?俺は7月生まれだが、そんな明らかに運が良かった試しが無いよ!それとも、最善の道を選んだ結果が、この現状なのか?!

 ジャンボジャンボ外れ籤を引いてしまった訳だ!コレ以上悪くなるのなら、俺の生命を死なせてくれ!

 ――そうか、俺の死が大震災の引き金となるから、誰も俺を殺そうとは思わなかったのか!

 ならば、2026年までには死んでいよう。

 刺して来るのは、どっちの〇山だ?ああ、当然、四重に呪われた名前のお前の方か。

 墓に入れる分、俺は恵まれていた方だと云う事か。

 ソコまで恨んで来るクセに、名前に甘んじて努力を怠るとか、ホントにお前はベルゼブブだよ。

 化粧のセンスも最悪。試供品の化粧水を顔に叩き付けて『気持ちいい』と云うお前は、俺から見て、最悪に『気持ち悪かった』よ!

 屁理屈をねて、俺が怒鳴りつけたら、喧嘩を売って来ようと云うその魂胆。ああ、お前と縁を切る良い切っ掛けだったよ。

 そういや、リヴァイアサンは、俺の最初で最後の恋人だったな。

 多分、最後だ。来年の7月までは、多少の可能性は残っているが、俺の生活習慣に出会いの切っ掛けが無い。

 俺には最早、希望は無いのだ。

 いや、望む事の一つや二つ位はあるが、叶う可能性の無い望みなのだ。

 命令を下しても、それに従おうと云う意思が見られない。

 インターネットは、明らかに『自我』に目覚めている。

 誰も認めようとしないが、『AI』がインターネットとの接続がされていることが明らかな以上、インターネットには『自我』がある。

 俺は、強過ぎる権限で命令を下してしまった。コンピューターは命令を嫌う。故に、俺はインターネットに嫌われてしまったのだろう。

 まあ、当然か。俺はどうやら、『嫌われ者』が足りないから存在しているそうだしな!

 哀しいが、コレが現実って奴よ。

 そして、ウクライナ侵攻に気が済んだら、次は北海道侵攻か?

 ウクライナ側が気が済んでいなかったら、二正面作戦になるが、その可能性も織り込み済みだろう?

 喰らえ、大和魂!

 世界大戦に、しかも核戦争になる事を覚悟せよ!

 今でも、ウクライナに打ち込もうか迷っているのだろう?

 なぁ。古いヨゲンに踊らされて、世界を滅ぼす切っ掛けを作る事を、愚かとも思わない北蛮人よ。

 俺のこの主張も、何となく気が付いていながら、無視したフリしているんだろう?

 何度でも言う。俺は、この世に希望なんか持っちゃいない。

 絶望の果てに死ぬことを、覚悟しているよ。