第22話 火を見るよりも明らか
「そもそもだがな」
そう言って『Kichiku』は話を切り出した。
「初心者が、あの操作スピードは無い」
「基本の基本ね。当たり前過ぎて、論ずる価値を感じないわ」
そう返したのは、『Venues』。『Primla』もそうだが、老師・岡本道場の女性陣は美しい。……昼姫は、自分も含めて、なんて思っているみたいだけど。
「『プリさん』から見て、彼女に改めるべきところはありますか?」
流石は世界ランキングNo.1の『Primula』は、『プリさん』なんて愛称で呼ばれているらしかった。
「もっと情報を見ながらプレイングした方が良いわ。
じゃないと、上位陣を敵に回してプレイングなんて、勝てる訳が無いもの」
「でも、真珠の『7対2』トレードで『7』の方を握っても、それなりに真珠は捌けますよ?」
「エゲツない……」
「貴様が言うか、『Kichiku』!この鬼畜生め!」
「あの……私からも一言、良いですか?」
そう『Venues』は切り出して来た。
「どうぞ」
「多分、『Morning』さん、全体の需要と供給のバランスが判っていないのではないかと……」
「あ、全然見えていません」
「あと、自星の観光地化をやっていないのではないかと……」
「えっ?!観光地!?
そんな事、出来るんですか?」
四人の視線が岡本を貫いた。
「また、老師の教え忘れ……」
「いや、仕方ないぢゃろ!
予想外の実力持っとるから、一回この道場を経験したら、良い経験値になるかと思っての、招待ぢゃからの?!」
「はぁ……、老師の教え忘れに関しては、今回が学ぶ良い経験の場となった事で良しとしましょう。
問題は、この先、どう指導したら良いかよね?」
「ソレに関しては正直、本人の努力次第で、伸びると思うがな。
むしろ、この道場のメンバー内でだけでも、『Morning』さんに対して、優遇措置とかすれば、ランキング2桁迄はあっという間だと思う」
そう『Victory』に保証を受けると、昼姫も何だか、やる気が出たみたい。
「じゃあ、今からこの道場のメンバーが全員参加して、30分ワンゲーム、試合ってみようか!」
「「「応!!」」」
……昼姫は返事をしなかったけれど、参加するつもりはあるみたいだ。同じく、老師・岡本も。
「じゃあ、私が全員を招待して、30分30人でワンゲーム組み立てるわよ。
――まぁ、結果は火を見るよりも明らかなんだけれども……」
代表して『プリさん』がゲームを組み立てるのだが――
「――の、前に、『Morning』さん、『ID』教えて頂ける?」
「あ、はい!……コチラなんですけど……」
「……え?!『333777111999』?インパクトが強過ぎて、二度と忘れないような気がする……」
昼姫もアタシも、ソレは以前から思っていた話だった。
「はい、老師、申し込みを拒否していないで、もう一度申請飛ばしますから、参加して下さいね、って。
他の人はありがとう。応募通り、参加してくれたみたいね。
はい、老師!始めますから、早く!」
「え~!絶対見ている方が面白い確信あるのに、儂を参加させるつもりぢゃったら、――本気出しちゃうぞ?」
「はいはい、そうして手の内を晒して下さい。
ゲーム内で観察メインのプレイングして下さっても構いませんから。
良し!開始30秒前。
皆。試合うわよ!」
こうして、道場内対戦が始まった。