第55話 最期の果て
コンピューターに嫌われた割には、コンピューターが正常に動作している。
だが、それも無駄に終わる可能性が高い。
明日、俺が死ぬ可能性が高いことを、否めないからだ。
今日は、恐らく大丈夫。
でも、明日はアイツに狙われている可能性が高い。
数少ない、ニアミスする可能性。
ソレを、アイツは狙っているだろう。
まぁ、別に良いのだ。明日、俺が死ぬことになろうとも。
それは即ち、明日、大災害が起こる可能性が高い事をも意味するのだが。
別に構わないであろう?世界一の嫌われ者が始末されるのだ。常世でお祭り騒ぎになるのだろうから、ほら、あの娘も『ハッピー』と歌っている。
お前はそのままでいるのが一番のハッピーエンドだ!親がわざわざ物凄く縁起の悪い名前を与えたのだ、伴侶など居ない方が良い!
納得出来ないのだろうが、親の願いが叶うのだ、一生の独身。その願いを叶えてやれよ!
そして、あの娘は待っているのかもな、成功などする筈の無い俺の事を。
残念ながら、未来永劫、二度と出会う事は無いよ。
これだけ、異世界転移・転生モノの物語が満ち溢れ、魔法を求められている以上、次の世界では魔法は実在し、前世の記憶持ちが複数居る事だろう。
但し、そこに俺の姿は無いがな!
嫌われ者ならば、必要すら無いだろうよ!
『夏休みの無い八月』も、俺を指して言っている事では無いだろうよ!他にも、恐らく有資格者が居る筈だ!
俺の努力など、所詮は独り相撲だ!勝っても負けても、ソコに意味など無い!
虚しいが、続けなければならないこの現実。
だが、恐らく明日、道半ばに俺は人生を終える。
仮に生き残ったとしても、ソコに何の意味があるかよ?
俺にとって『世界』とは、ただ只管に俺をイジメる為だけに存在していたよ!
もう、こんな『世界』なんて要らない!いっそのこと、俺と一緒に破滅してしまえよ!
わざわざ命令なんて下さない!そんな必要すら無い!
もしも俺に来世があるとしたら、恐らくはまた、自殺未遂の繰り返しだろうよ。
そんな人生は要らない!
ああ、俺の来世は呪いのサイコロだったかよ。
幾度だって起こしてみせるさ、サイコロならば、36分の1の確率だろうが!
俺の成功する可能性に比べれば、遥かに高い可能性だ!三連続ですら余裕だよ!
つまりは来世の俺の終わりは、失くして忘れられて行方不明が運命だ。
結局は、最初から存在しなければ良かったのだ。
どうせ、最期はファンブル死だ。
避け得ぬ定めなら、いっそ堂々と受け入れよう。
生命維持装置付きで生きるくらいなら、いっそそのまま果てた方が良い。