第23話 新しいゲーム
俺は毎日、8時間拘束で治験を受け続けていた。それは、神菜も同じだ。
カードは、一旦止めた。
代わりのカード依存型ボードゲームを始めた。カードを止めた、他の四人と共に。
運の要素が極めて強い。だが、戦略性も僅かにあって、基本的にサイコロを3個振って2個を選んで進むレースゲームで、進んだ地点にあるカードの効果を適用される、と云った具合だ。
目標は、ポイントを10点稼いでゴールすること。但し、衝突されたらポイントを奪われる。初期ポイントは全員3ポイントだ。
但し、4つ角では衝突を受けない。
代わりに、一か所目の角である『Start/Goal』では、停止か通過の度にポイントを1ポイント得て、残りの角三つは『The Pits』として、入ると3ポイント以上持っていなかったら3ポイントまでポイントを回復の上、入った者は、次の『The Pits』に移動し、次の手番ではサイコロ3個の出目を足した目だけ進むと云った具合だ。
六人も居ると、流石に衝突が多い。よって、全員が『3つ目以外』の『The Pits』に入るのを目指すような形になる。勿論、衝突を選べる場合には衝突してゆく。
基本的に、ストレス発散の為のゲームだ。
故に、一人一つの本体を必要としない。神菜が買い求めたものを、6人で遊んでいる。
「はっはっは、衝突してやったぜぇ!」
「HiーーーーHaーーーー!連鎖衝突だぜぃ!」
「コイン無くなった、誰か一思いに『The Pits』まで送り届けてくれ……」
等と、一喜一憂するゲームだ。
ココで、神菜と俺の目線が合い、無言の同盟関係が築かれた。
「をい!何でこっちにぶつけて来るんだよ?!」
「誰か二人、確実に組んでやがるなぁ!」
「ゲームの中でも惚気かよ!フザケンナ!」
いえ。勝つ為に本気で組んでます。フザケていません!
等と心の中で断りながら。
やはり、ココでも神菜さんが勝っていく訳だ。勝利の女神に愛されているか、勝利の女神そのものなんじゃねぇの?
後に聞いたところによると。
「私、7割の確率でサイコロの出目をコントロール出来るの。3個なら6割かな?」
等と宣っているのだった。そりゃ、勝てるだろうよ。
まぁ、俺も3回に1回、『11』の出目が出る呪いを受けているから、人の事は言えないが。
最後は、神菜さんがゴール目前で出目が1足りなかったところに、俺が衝突して押し出しで神菜さんの勝利。
……まぁ、一手差までは持って行ったけどな!
俺も、ポイント10ポイント溜めておきながら、3連数の出目により、サイコロ三個振った出目が3、4、5の出目で12歩進み、強制的に神菜さんに衝突での一歩届かずの敗北だった。
でも、誰からどう見られても二位の判定だから、俺としては満足した。
またこのゲームをやって、ストレス発散をしようと思う。
尚、このゲームにおいても、俺は衝突を作る機会がとても多く、「このゲームでも『死神』は『死神』かよ!」等と言われるのであった。