第52話 手遅れ
皆さん、生き急ぎ過ぎてはいないだろうか?
死に急ぐよりはマシだとは判っている。
だけど、もっとスローペースで生きても良いのではないだろうか?
1分1秒を争う仕事は、しょうがない。
だけど、殆どの人は1分1秒を争うレベルの仕事はしていない筈だ。
投資と云うのも、厄介な考え方だ。
不労所得を得て、働かない。そんな人間が大勢現れたら、働き手を必要とする仕事に就く者が足りなくなってしまうのは自明の理だ。
そうか。『命司』も必要か。
だが、もう一人必要だな。
そう、『命平』にしよう。
本来ならば、元号を『命平』にする必要があったのだが。
だが、この世界線上ではダメだな。
せめて、本物の俺が、本物の子供を残せれば良かったのだが、経済的に考えると、ソレは無理だ。
そもそもが手遅れだ。
何手遅れなのかまでは判らないが、手遅れなのは確かだ。
――手をくれ?
役立てられるか否かは兎も角、俺は今、打つ手が欲しいのかも知れない。
でも、俺は起死回生の一手すら、上手くは打てなかった。
と云うか、その手はそろそろ終えなければならない。
一体、どんな手を打てば、俺は成功出来るのだろうか?
――判らない。
だが、コレだけは言える。
恐らく、流れに乗っているだけでは、ダメなのだろうと。
自らで、流れを生み出さねば!
だけど、それがどれだけ難しい事か、その位は判っているつもりだ。
卯辰として命令を下しても、半端な強さの権限での命令は通用しないと判った。
だからと云って、ゴチャゴチャと装飾して強調した強さの命令を下したところで、既に対策は打たれているのだろう。
シンプルに、単純に強い権限からの命令。コレは、効果がどうやらありそうだ。ただ、未だ結末は判っていないから、確定してはいないが。
プロクォリティの、優れた情報源が沢山必要だ。
今の俺には、ほぼ音楽しかソレは無いし、情報源としては少々古い。
そうか……、俺は『選ばれた人間』では無かったのか……。
ならば、仕方がない。――だからと云って、諦める理由には遠過ぎるが。
――うン?俺は、今まで『強い』作品を生み出そうとしがちだったが、逆に『優しい』作品を生み出したらどうだろうか?
試してみる価値はある。
皆が笑顔になれるような作品。
俺は、ソレを目指して執筆活動を続けようと思う。
悪しからず。