第20話 怒りのトリガー
まただ。
また、卯辰は悪い夢を見た。
言葉にするのも憚れるが、う〇こ塗れの夢。
幸いにも覚醒夢であった為、必死で夢から逃れて起きた。起きる事に成功した。
何度見せれば気が済むのだ?
やはり、この世界の神は『趣味が悪い』。
いい加減にして頂きたい。
卯辰は幸運を求めているのであって、う〇こ等、決して求めて等居ない。
何?業界用語では、幸運は『う〇こう』だと?!
狂っているのでは無いか?それに、卯辰は芸能界等に興味は無い!例え芸能界が魔界で、卯辰が『魔王』だとしても。
例え、生きるのにう〇こが必要不可欠だとしても、夢にまで出て来る必要はあるまい!それも、何度も繰り返して!
いい加減にしていただきたい!……ん?良い加減だと?屁理屈を捏ねるな!例え、この世界が神様の屁から出来ているとしても!
原因は分かっている。バッ〇・〇ゥ・ザ・〇ュー〇ャーだ。亡き父が、『完解』だと伝えて来た。
美味しいトコだけあの大富豪が持って行って、俺にはこの扱いか!
賭けをする度胸が無い?ああ、その通りだよ!特に競馬は、丙の生まれの俺には相性が悪いよ!だからやらねぇ!
三歳の時には堕ちていた俺だ、例えラッキーセブンの七月の生まれだとしても、そうそう簡単に賭けで儲けさせて貰える筈が無い!
それ程に、獅子の教育方針は厳しいんだ!
2番目に強い筈。だから、決して一番にはなれない。だけど、2番目の強さすら持っていない。
恐らくは、それ程までに俺の頭は『悪い』のだろう。
『賢さ』とは関係ない。故に、殆ど全ての犯罪者は頭が『悪い』。
何しろ、『悪いことを考えている』のだ。頭が『悪く』ない訳が無い。
ただ、『ズル賢い』事は認めざるを得ない。
だから、俺は、警察ともう一度話をする為に、ワザと軽犯罪を犯したいが、軽くても、ワザと犯罪を犯すなど、やりたくない。
『確信犯』ですらも、ワザとはもう二度とやりたくない。
だから、俺にはチャンスがやって来ないのだろう。恐らくは、覚悟が足りないのだ。
痴漢は軽犯罪であっても、社会的に死ぬから嫌だ。
ああ、『確信犯』を行う事を検討している時点で、俺も頭が『悪い』な。
出来れば、もっと頭が『良く』産まれたかったものだ。
だが、全てはもう過ぎた事。
でも、そうさな。『こんなに頑張っているのに』、とは俺も思う。
そう、卯辰は俺自身の事。卯月の辰年の生まれ、では無い。
辰年の生まれで、生まれた年の前の年の誕生日の前日に兄が生まれ、三日間だけ生きて俺の生まれた年の前の年の誕生日の次の日に兄が亡くなったのだ。
俺は、自分に兄の魂が宿っていると信じていた。そして、実際に魂の入れ替わりも経験した。
故に、俺はサタンでありルシファーなのだ。同一人物説は、恐らくは俺の為にあったのだ。
だから、サタンであるからと気付いて傲慢になる奴は、頭が『相当悪い』。
俺は、自分が傲慢であることに、自らの過去の作品を読んで気付いた。
そして、自らを『勇者』に擬え、ルシファーに加護を、サタンに呪いを齎したのだ。
まさか、『呪い』が実在する等とは信じていなかったのに、だ。
恐らくは、サタンは世界中の大勢から呪われていたのだ。その『呪い』の発動の切っ掛けを、俺自らがトリガーを引いてしまったのだ。
だが、俺は怒りを『鎮めた』。ちょっとしたことでカッとなるが、なるべく我慢している。
次に俺の『怒り』のトリガーを引いた者は、恐らくロクな事にはなるまい。
だから、世界よ。俺に、二度と『怒り』のトリガーを引かせないでくれ!
頼んだ!