平和への願い

第32話 平和への願い

 『世界の一位になる』。ソレは、方向性を問わず、注目を集める方法だろう。

 だが、『悪いことをして世界の一位になる』と云うのは、注目は集めるだろうが、余りにも頭が悪すぎる。

 だから俺は、『合法的な方法で、世界の一位になる』と云う方法を模索している。

 勿論、『世界で最も売れるかも知れないボードゲームのアイディア』と云うものを持った上で、そう考えている。

 ただ、ソレは恐らくもう手遅れだ。他のボドゲ作家の方が似たような作品を仕上げている可能性は非常に高い。

 他に、俺に世界一を目指せるものがあるだろうか?

 得意なゲームですら、世界一を目指すなど烏滸おこがましい程に実力が足りない事など知っている。

 だが、『世界の天辺を取る』と云うのは、『馬鹿と煙は高いところに昇りたがる』と云う言葉があるように、馬鹿が目指す目標である。

 だからこそ、何らかの分野で俺は馬鹿になりたい。

 神様を目指すなら、ド真ん中を目指せば良い。

 でも、『〇〇の神様』と呼ばれる人たちは、大抵が世界の天辺に手が届いた人しかそうとは例えられない。

 或いは、『奇跡的な出来事』を起こした者は、『〇〇の神様』扱いされる可能性はある。

 天辺を目指していないのに、何かの一事を継続的に努力し続けた結果、世界の天辺に届いた人が、『〇〇の神様』であるのだろうか?

 その世界の中心に立って、その世界を牽引して行った人が、その世界の神様なのかも知れない。

 ――俺には出来ない。恐らく。

 うだつ(卯辰)が上がらないと云うのは、非常に残酷な運命を指す言葉のように思えてならない。

 何一つ成し遂げられないのかも知れないのだ。非常に強い影響力を持っていながらも。

 自分で自分を呪う。そんな事態を何となく不安を持ちながら、気付かずに引き起こしてしまった。

 何の権力も持たないまま、『魔王』と化してしまった。これでは、『魔王』ではなく『魔』だ。

 ……ん?まさか、現実に影響を及ぼす権力こそが、卯辰と云う魔王の持つ権力なのか?

 ならば、世界中の国、特に社会主義国は、戦争を起こすことを放棄して欲しい。

 コレが守られず、もしも俺に対して影響のある戦争に至ったら、俺の持つ全権力を使って、世界の全てを破滅に導く。

 だから、戦争を止めてくれ。自国を開発すれば、まだまだ発展の余地があるだろう?

 戦争の準備をしなければ、もっと豊かな国になるだろう?

 自衛の為の戦力ならば、所持しても構わない。だが、他国を侵略する為の戦力を、放棄してくれ。

 その為ならば、俺が平伏しても構わない。

 もう、この世に戦争は必要無い筈なんだ!

 侵略して得た土地など、荒れ果てて再興の手間が掛かるだけで、それならば自国を開発した方が近道な筈なんだ!

 発展した土地を侵略して得たところで、発展したままの土地など手に入らない!荒れ果てた土地がそんなにも欲しいのか?!

 日本は、侵略の為の戦力を放棄して、自衛の為だけの戦力を持ち、その余剰分の予算で開発に力を入れているから、栄えた発展した土地を持っているだけなんだ!

 ソレは、日本だけでは無いだろう。いい加減、気付いてくれ!過去の聖人とされた人たちの遺したヨゲンによって、人為的に世界に滅びが齎されようとしている事に!

 西暦2026年を過ぎるまで、大人しくしていてくれ!そうすれば、気付く筈だ!自らの手で、自国をも含めた世界の全てに滅びを齎しかねなかった事態に!

 誰もが西暦2026年に不安を持つのは判る!だが、そこをグッと堪えてくれ!

 特に、最強のサタン!気付いているだろう?ベルゼブブが五月蠅い事に!

 世界が滅ぶかどうかは、貴方のてのひらの上でもてあそばれている!

 貴方が侵略戦争を行わなければ、いとも簡単に平和は訪れる筈なんだ!

 五輪関係で、イジメられて腹が立っているのは判る!だが、反則スレスレの手段を使った貴方方にも責任はあるだろう?

 パリ五輪よ、願わくば参加を申し込む国の全てに参加の権利を与えてくれ!

 日本には、こんな言葉がある。『罪を憎んで人を憎まず』。

 『七つの大罪』であろうと、ソレを犯した人を憎まないでくれ!

 あるバンドがこんなフレーズの曲を歌っている。『全ての罪は皆で分けましょう』と。

 自分は罪など犯していない?そんなことは無い筈だ。何しろ、空想の中の罪も、現実に何処かで影響を及ぼしているのだから。

 善悪や良し悪し等に囚われ過ぎるのが良くない。気持ち良ければ、色欲の大罪を犯しても良いのか?いや、それが快楽を得る為だったら、お互いに気持ち良くても、控えるべきだろう。

 だが、それが子供を欲しい余りなら、許されるべきだろう。

 恐らく!西暦2028年には、ベビーブームが訪れる事だろう。

 観光地としての価値を高めれば、社会主義国ももっと簡単に利益を得られるだろう。

 この今回の話が、パンドラの箱に最後に残っている『希望』であると、そう俺は信じたいと思う。