卯辰の運命

第9話 卯辰の運命

 卯辰の真似をするプレイヤーが現れ始めた。

 プログラミングを少し勉強していれば出来る事なのだから、そんなにおかしな事では無いのだが。

 だが、PKをするプレイヤーがそれをしだしたのは、ちょっとした脅威だった。

 PK。即ち、プレイヤーキル。

 そもそもが、卯辰の真似をする者が現れ始めたのも、プログラミング言語の理解を人に勧めたからだ。

 その模倣をする者の中から、PKプレイヤーが現れただけの話だ。

 当初、卯辰はそれをあまり深刻には考えていなかった。

 だが、攻略仲間が次々に被害を受けるのを目の当たりにして、対抗策の実行を企んだ。

 安全地帯への避難魔法の創作。

 その魔法を、皆に配り歩いた。

 安全地帯でなら、PKは出来ない。システム上、そうなっている。

 それだけでは解決にならない。

 強制送還魔法を作ってみてはどうか。

 レジスト魔法を開発された。

 やはり、三十六計逃げるに如かず。自分が逃げるのが一番だった。

 一度、仲間を募ってPK狩りもしてみた。

 だが、然程の効果は無かった。

 何とも歯痒い事態だった。

 何をやっても上手くいかない。

 それが卯辰の運命だと云われれば、それまでの話なのだが。

 そんな運命に等、従えない!その決意に、如何程の価値があるのかは分からないが。

 少なくとも、自分が頑張る理由位の価値はある。

 でも、そんな理由だけで何かを成し遂げる程の価値があるのかは不明だが。

 世の中、努力しただけでは結果は出ない。

 その位は、分かっているつもりだった。