第13話 北海道防衛戦
「片は付いたとは言え、困り果てた遺産を残してくれたものよねぇ……」
隼那はそうボヤキながらも、一応の決着が着いた事に、ひと安心。
後は、露が北海道を諦めてくれるかどうかの問題なのだが、コレが中々に油断出来ない。
特に、キラーチーム『アーンギル』。彼らは、原因が『クルセイダー』にあると、半ば確信していた。
実は『クルセイダー』の中央拠点は、その名が示すように、『バチカン市国』にある。
魔界を裏切ったサタンからの情報提供に因るもの、とは言え、サタンは『怒り』を司っているだけに、和解の道は無く、公開処刑に処せられる。
尚、サタンは『公開処刑』のマナーを知っていたが為に、娼婦とは言え、若い女性を一人抱いて、のうのうと生き延びていた。
その辺は、『魔界を裏切った』と云う事実と、本人の『怒りは鎮めた』との言により、暗黙の了解として放置されていたが、『公開処刑』の映像が公開されたが故に、社会的に抹殺された。
『公開処刑のマナーを何処で知った?!』との疑問が生じるが、本人曰く、『常世』との返答だった。
『クルセイダー』は、サタンを『監視下に置く』と云う処置は取ったものの、彼の処分を『安全な限り放置』と云う形を取った。
だが、本人曰く、『もう死にたい』と云う気分だそうだ。
そして、中が台への侵攻をしないことを公に意思表示された事で、日本はますます鬼気迫って来るものがある。
中は、日本への侵攻を示唆する情報を提示していないが、侵攻しないとの公言もしなかったのだ。
『コロナ禍』は、辛うじて『神風(邪)』であったのかも知れない。
だが、『コレラ亜種』は行き過ぎたバイオ兵器だった。
だからこそ、露は宇との戦争を、核を使わずに済ませる為に、必死で開発した。
一方で、日本になら核を落としても構わないと思っているにも関わらずだ。
日本の運命は、放射線に汚染された島。
故に、露は日本にならもう一発くらい核を落としても許されるだろう、等と考えていた。
当然ながら、米が条約を守るなら、露が日本に核を落とした時点で、米から露に核が落とされるのだが。
恐らくは、露は近い将来、米がその条約を破棄すると信じていた。
だが、朝が日本に向けて弾道核ミサイルを飛ばした時、迎撃に成功したが故か、米は朝に核を落とさなかった。
一部の口嵯峨の無い者からは、『条約違反!』と揶揄されるが、普通に考えて、迎撃に成功したならば、わざわざ核と云う恐ろしい兵器を落とさなかった米の判断は正当であろう。
しかし、コレを以て、露は日本に核を落としても、米からの反撃は無いと判断しつつあった。
「マズいわね」
隼那は情報を精査して、そう呟いた。
「こう云う時は、美味しい物を食べるのが一番ね。
マスター、ミニパフェを一つ、オススメで!」
「あいよ!」
そう注文して、出されたのは『完全みかんパフェ』だった。
完全である証拠とでも言おうか、申し訳程度にみかんの皮の甘露煮が乗っている。
「ご馳走様。美味しかった♪♪」
『怒り狂っている』間は、サタンに支配されている。
故に、慈悲の心が重要なのだ。
だからと云って、北海道は譲れない!
戦争にだって、発展させやしない!
その意気込みで、隼那はこれからの計画を立てるのだった。