第28話 北海道守護計画
現実で、生きながらに生まれ変わり、二度目の人生を送っている者が居る等と思う者は、殆どいないであろう。――か?
タロットカードで云う、『世界』までの到達から、『愚者』からのやり直しだ。
彼は少々、イジメられ過ぎた。
何せ、自らの手で自らをイジメて、呪いを掛けたのだから。
自分の肉体をイジメぬいて、鍛えたのとは訳が違う。
そんな人間が、世界に干渉して動かし、自らの望む方へと導くべく、努力している。
「大きなお世話だ!」
そう言う者も多かろう。
だが、彼は誰からもイジメられ過ぎたのだ。
心友と名乗る者からも、『災禍の中心』等と言う恐ろしき存在を知らしめられた。
――まるで、この物語世界が『災禍の中心』かと思ってしまうではないか。
だが、その人物は、『世界が物語化している』と嘯く。
決して、『物語が世界を変えている』訳では無いのだと。
しかし、その二つに、大きな違いなどあるだろうか?
例えば、『ある日本人メジャーリーガーが、完全試合を成し遂げる』とヨゲンしたとしよう。
果たして、それが現実化するものかどうか、中々に見物であるが、ソレは彼本人だけの功績で在り、この物語でヨゲンされたからと云って、筆者に功績は欠片も無い。
いつ?そうだな、来シーズンと限っておこう。
『世界が物語化している』なら、この斜め上を行く事態が起こるだろう。
だが、この『物語が世界を変えている』かも知れない事態は、想像が及ばない。
いや、これは『露が北海道侵攻を進めてきたら』の『if』のストーリーだ。
そもそも『露が北海道を侵攻して』来なければ、こんな物語の未来など要らない。
だけど、露も中も朝も、戦争をする準備があると云うなら、コレラ亜種程度のバイオ兵器を開発している可能性は大いに存在しているのだ。
人間による管理が、100%完璧である等、あり得ない。開発しているならば、必ずや洩れる。
ウィルスが洩れれば、当然、蔓延する。――世界的に。
ああ、そうか。万円を諦めれば良いのだ。20億円で構わない。8000万円は諦める。
だが、こんな嘘つきな世界が、20億円を齎してくれるとは、最早、到底信じられない。
宝くじ?そんなもの、お金を溝に捨てるのと一緒だと悟った。
否、大金とは言え、そんなお金よりも北海道の方が重要だ。
本当に、北海道を露からの侵攻から護るには、どうしたら良いのだろうか……。
目の前のお金も大事だが、近い将来の北海道もそれ以上に大事だ。
最善手こそが重要だ。最悪の事態など、想定するだけ無駄だ。
ならば、病魔のヨゲンなど、しなければ良かったのだろう。
今更の話だが、ならば、病魔撲滅の為に動こうか。
頼んだぞ、紗斗里、総司郎。