勝者への祝福

第45話 勝者への祝福

 俺が筐体を出ると、ほぼ同時にケントも筐体から出て来た。
 
「ははっ。強ぇわ、やっぱり。蒼木のジャックは」

 爽やかに、ケントは笑顔でそう言った。
 
「最後の技、飛び上がらずに喰らっていたらヤバかったけどな」

「結果論だろ、それは?

 結果的に、ジャックにはヨシツネの性能を無効化する技を持っていた。ただそれだけだよ。
 
 性能も、結局はヨシツネよりジャックの方が上だよ。それに見合う腕も、蒼木は持っていた訳だし。
 
 残りのライフを見ても、この結果は妥当なところだと思うよ。
 
 むしろ、俺は善戦していたと言っても良いんじゃないかな?
 
 とにかく、俺も準優勝はしたんだし、この結果には満足しているよ」
 
「そうか。そんなものだよな。

 けど、少し悔しいだろう?」
 
「ああ。悔しくないと言ったら嘘になるよ。

 ともあれ、優勝したんだから、少しは観客にアピールしてやったらどうだ?」
 
 言われて俺は、観客の方を向いて、高々と拳を突き上げると――
 
 うおおおおおおおおお……!
 
 大きな唸り声と共に――
 
 パチパチパチパチパチ。
 
 盛大な拍手が、俺を祝福した。