第33話 元凶の始末
「畜生、いつまで経っても始末し切れねぇ。
ホントに、コレ、七日間で片が付くのかよ?」
「元凶を何とかしないとダメかもね。
恐らく、七つの地球の全てで、同時にあの青函トンネルで、ばい菌の親子を始末すれば、何か変化があるかも知れないわ」
「……ホントに七つかよ。八つか九つに増えている可能性は無いのかよ?」
「ソコは、七つである事を信じましょう。
多分、私たちの分身も、同じ結論を出している筈よ。
それぞれ打ち合わせて、七つに散って始末しましょう」
「……余計な事は言わない方が良いな。
厄介な事に、コレで金を貰っている身としては、プロのクリエイターを責められないと云うジレンマよな。
どうせなら、パーッと大金稼ぎたいもンだねぇ」
「無茶言わないの。
コレで、コロナ禍を始めとするパンデミックを止められれば、ボーナスが付くかも知れないわよぉ?」
「贅沢を言えば、期待したいねぇ。
と云うか、広告収入でも得られるようになれば、もっと儲けられるのだろうけどな!」
「無茶言わないで。『Vウィルス』の存在する世界と繋げてしまった世界線上なのよ?
獅子身中の虫は特効薬『牡丹のアラシ』で始末した。
でも、事実上の自滅だし、方策が他に取れなくなったのは、大した痛手よ?」
「あの阿呆も、中途半端にロク過ぎたのかもなぁ……。
あと、その時点ではコントロール下で運命に逆らえなかったのかも知れない。
やはり、欧米は『唯一神』に支配し過ぎられ、縁起が悪い。
そもそも、『全治全能の神』は、もう一人の聖人扱いされている阿呆が『七大魔王』の存在をヨゲンしたことで、その全ての魔王の知恵や知識や能力の全てを持っている。
ヨゲンが当たるからと信仰するなど、阿呆にも程がある。
この世は、ナノマシン的な存在によって、『理に適った論理の思い込み』によってコントロールされている。
理に適ったヨゲンを行えば、ソレが命令と化して、世界にそのヨゲンの通りの現象が起きる。
別に、何も不思議ではない。神がこの世を管理し易くする為に、『命令に従う』ナノマシンを世界中に蔓延させたに過ぎない。
結果、権限の強い者のヨゲンの方が当たりやすくもなる。
偶然とは言え、あの阿呆も『私はカミダと申します』等と発言したことが、あの阿呆の権限を強くしているのかも知れない」
「――洒落にならないから、その話はこの辺にしておきましょう。
さあ、作戦実行よ。分身の皆とはネットを組んだわ。
あとは合図をして、一斉にばい菌の親子を処分するのみよ!」
「ああ。時間軸が時の流れとの影響が無い世界とは言え、戯言が過ぎたかもな。
しかし、失敗したら『BRICS』との世界核大戦とは言え、『真剣勝負』の数字で来るとはな。
負けたら即死の勝負を仕掛けて来るかも知れないとなると、此方も6ヵ国の『勝利の女神の数字』か、7ヵ国の『勝利の神の数字』位の国で対抗したいのだがなぁ……。
生憎、そんな気配は見られない、かよ!カッ!」
「行くわよ、合図。
七人の恭次で一斉にばい菌の親子を焼き払って頂戴。
消し屑も残さない位のつもりで。
3,2,1――行けッ!」
「『流星弾』!『彗星弾』!」
恭次が火の玉をばい菌の子供に放った後、自らも炎を纏ってばい菌の親に向かって突っ込んだ。
そして、二人を始末すると――
「『インフェルノ』!」
恭次はばい菌親子の死体の消し屑も残さぬ程の炎で、消毒を済ませたのだった。