第5話 ラッキーチャーム
それは、とある時の単独行動で、素材集めをしている時の事だった。
卯辰には、不思議な事に、レア素材を手に入れる確信があって、わざと一か所での採取を全て行わないで、近くの複数個所の採取を回数を限って採取してみた。
すると、採取可能ではあるものの、滅多に手に入らない素材がザクっと複数、手に入れる事に成功した。
そして、わざと採取可能回数を残してその作業を終える。
勿論、次に来た時の為に残したのだ。それ以上の採取を行っても、レア素材を手に入れる確信は無かった。むしろ、レア素材以外が手に入る確信があった。
そんなレア素材を集めて作ったのが、『ラッキーチャーム』。所謂、御守りだ。
因みに、似たようなもので、『タリスマン』が護符、『アミュレット』が魔除けだ。
それにより、極振りでは無いものの、元々高かったLUKのステータスが、3割ほど上がった。
卯辰は、LUKのステータスを非常に重視している。よく考えれば分かることだが、最重要ステータスだ。
それにより、卯辰のLUKのステータスは上限値の7割程になるが、卯辰はソレで良しとした。
その装備で、しばらくボス戦を繰り返すが、何故か勝率が八割まで上がってしまった。
――次は負けるな。
そう判断した卯辰は、所持品の殆どを預り所に預け、装備もエース級の装備は預けて、準エース級の装備で挑む。
そこまで準備して負けたが、装備品のロストは無かった。所持品はゲーム内通貨である『コトル』で買えるものばかりがロストした。
『何故、手を抜いた?』
悟天からそう責められるが、卯辰は正直に、『負ける確信があった』と答えた。
『手を抜けば負けるのは当然だろう!』
そう追及されるが、卯辰は装備として先ほど負けたボスの相手をするとして、十分なステータスがある事を説明した。
結果から言えば、悟天は敗因は別のところにあるとの説明に納得し、再度のチャレンジを提案していた。
今度は、勝てるかどうかは五分五分だ。――否、七分三分で有利と見た。
ならば、装備や所持品に手抜きをする必要は無い。最適の装備を選んでそのボスと戦い、2時間半もの激戦を繰り広げて、ようやく勝てた。
次は、恐らく勝てる。その次は、際どいが勝てるだろう。次とその次を勝てたら、その更に次は流石に負ける公算が強いと卯辰は判断を下す。
雑魚には全勝なのかと云うと、卯辰が三割位の割合で、逃げる事を提案していた。
理由としては、時間が勿体無い。それで通用した。
勝ち過ぎて、勝利の女神に愛され過ぎると、『666』のサタンの数字に魅入られる。故に、卯辰は勝率七割をキープしていた。
故に、勝利の女神は三回に一回、裏切るのだ。
勝利の神様は『マケマケ様』だから、二回負けた後に一回勝たせてくれる。
尤も、それは全力を尽くしての話だから、一度サタンの領域に入ったら、滅多な事では勝てなくなる。
サタンは、イジメ尽くされた結果、運命的に強くなる領域だが、イジメ尽くされるが故に、強くなったからと言って勝てる訳では無くなる。
そうと認識した者以外は、無意識にサタンをイジメて、怒りを買う。
最終的に、全人類がサタンと見做した者は、怒りを鎮める為に、サタン側が『不戦勝』することになる。でなくば、サタンが死ぬか、世界の全てが滅ぶまで戦争になる。
何故ならば、『全知全能の神様』は、サタンの知恵や知識と能力の全てを持っているからだ。
故に、『唯一神教』の信仰する神様は、『全知全能の神様』では無い。
『唯一神』は、『全知全能の神様』から、都合の悪い要素を取り除かれた神様だ。
卯辰に関して言えば、既に手遅れなのだ。
故に、卯辰は『上がらない』。『下す』のみだ。
ソレを禁じられたのが、どの位、卯辰にとって損害なのか、理解する者はいまい。