第9話 ラスボス
翌日も、パーティ募集を探して、応募しての狩りをしてみようと思った。
出来れば……あの女神様に居て欲しい――居た!
アテネ様!イージスの盾が欲しいんだ!スキルとしては貰ったけど、実物も欲しいんだ!
早速、応募する。――了承が得られた!良しっ!
そして、目的の狩り場に行くと、俺が一番乗りだったようだ。
「お待たせ~♪」
アテネ様が軽いノリで現れ、間もなく、六柱全員が揃った。
その時に、アテネ様は全員にイージスの盾を配って下さった。
「……俺、今回の収穫の俺の取り分、全部アテネ様に譲り渡します」
「そう、ありがとう」
コレで、アテネ様は今日のMVPだろうと思ったら、北欧神話の狩猟・弓術を司る神様『ウル』様から、皆へ『弓術』のスキルが配られ、ディアナ様から『狩猟』のスキルが配られ、建御名方神様からも『豊作』のスキルが配られ、事代主神様から『豊漁』のスキルが配られたので、俺も何か配る物は無いかと、『幸運』の御守りを配ったところ。
「えっ!?『幸運』のスキルレベルが上がる御守り?!」
ディアナ様がそう驚いた。『幸運』のスキルレベルが『5』で止まっていて、上げられないものかと思っていたところ、今、御守りを手にしたら、『6』に上がったらしい。
良いなぁ……。『幸運』のスキルレベルが『6』ってことは、信者に『幸運』のスキルレベル『2』を与えられるって事だぜ?!
でも、この御守り、俺自身の物だからだろうが、俺には効果が無いんだよねぇ。
他の国の神様には、『御守り』の代わりになるものがあるとするならば、それは『病気や災害から守る御守り』タリスマンであったり、『魔除けの御守り』アミュレットであったり、あと、ディアナ様から聞いて、初めて知ったが、『幸運を呼ぶ御守り』として、ラッキー・チャームと云う物があるらしい。てっきり、『チャーム』だと思っていたから、『幸運』のスキルを与える『御守り』は、他国には無い物だと思っていた。
でも、そうだよね~、『幸運を呼ぶ御守り』位の概念は、存在するよねぇ~。
「月詠尊様、自分の収穫の取り分は、ちゃんとご自身でお受け取り下さい。
それ相応の物はいただきました」
アテネ様からは、そう言い渡されました。
どうも、布袋様から始まって、パーティを組む際に贈り物をし合う習慣は、浸透しつつあるらしい。
結局、その六柱で狩りに行ったところ、皆が「やたらとクリティカルする」との報告があり、俺の配る御守りも、捨てた物じゃ無いなと思ったのだった。
因みに、本日のMVPは、百発百中クリティカルを起こしたディアナ様で決まった。
「いや、半分は貴方のお陰だからね?」
ディアナ様はそう仰ったが、『幸運』のスキルレベルを『5』まで上げたのは自力だろうし、狩猟も司る神様なら、この結果は当然だったと、俺は思うのだった。
次の狙いは、オーディン様だ。グングニルが是非とも欲しい。
ラスボスは分かっている。ソイツを貫くのに、グングニルは必要だ!
出来るなら、戦わずに済ませたい。
だが、このゲームの中においては、エンドコンテンツの一つだ。
『Water Satan』だ!コレを討たずに、このゲームは終えられない。
まぁ、ある意味PKなんだけどな。
ソレでも、討たなければなるまい。でなくば、リアルの方の自分の安全が脅かされる。
『Water Satan』は、言ってはならぬことを言った。撤回せねば、必ずしや討つ!
リアルに影響が届かなくとも、リアルに影響が届くまで討つ!
何柱だろうとも!唯一柱として残ったとしても、あの『Water Satan』だけは、必ずや討つ!
既に、『Water Satan』は男として寿命が尽き易い年齢に達している。
怒り狂って、脳内出血で倒れろ!それが致命傷となれ!
俺は、生きる事を諦めはしない!二度と自死を願ったりはしない!
その為には、貴様が邪魔だ、『Water Satan』!!
死にたくなくば、発言を撤回し、二度と再び俺たちの命を脅かす真似はしないと誓え!
さもなくば、『Water Satan』には強烈な呪いを掛ける!
貴様は、『Water Satan』であると同時に、破壊神だ!情け容赦は無用だ!!
貴様を討つ為なら、俺は人のまま、修羅に羅刹にすら至る!!
言霊の力で、貴様を討つまで、俺はこのゲームを続けよう!
だから、次はオーディン様のグングニルだ!
さぁ、このゲームの最終目標は決まった!あとは、その道を進むだけだ!