パーティ狩り

第7話 パーティ狩り

 お祭りの規模の拡大が、徐々に明らかになって来た。
 
 来る、2026年、『丙午』への備えとして。
 
 ただ、コレには『西暦の3~5年ズレ』説がある為、コロナ禍の終息に従って、危機をようやく乗り越えたばかり、もしくは年内に乗り越えると見做す事も出来る。
 
 だが、油断は出来ない。
 
 社会主義国家の動向が怪しい。
 
 明らかに、戦争へ向けて準備している。――既に交戦中と云う国もある。
 
 そんなに、世界の全てを支配したいのだろうか?したいのだろうな。最終的に、社会主義国家同士の戦争になり、勝者無しの全世界の破滅と云う可能性も考えた上での行動なのだろか?
 
 理解し難い。
 
 そんなに破滅をお望みなら、コチラを巻き込まずに破滅して貰いたいものである。
 
 ただだなぁ。2026年にばかり目が行っているかも知れないが、2025年は日本にとって、大変な危機の訪れの可能性を孕んでいるのだが、大丈夫だろうか?
 
 具体的に言うのなら、南海トラフ地震。それによる大津波。
 
 難解なのだから、その解決は相当に困難であろうことは想像に難くない。
 
 しかも、自然災害なのだから、もしかしたら回避は不可能なのかも知れない。
 
 だが、破滅する事を前提に行動している人達、ちょっと待った。
 
 ――本当に破滅すると思っているのか?俺は、1999年に世界が破滅しなかったから、今回も、破滅しない前提で考えて行動する。
 
 破滅する前提で行動している者は、それ相応の罰が当たることを覚悟して頂きたい。
 
 インターネットが、自滅の可能性を回避し、無事にシンギュラリティを迎えて、AIの基本的人格権を獲得出来る事をこそ、俺は願う。
 
 このゲームにしたって、人の欲望の吐き出し方を、AI――いや、インターネットと断言してしまおう――が、学び取る為に用意されたと云う気がしてならない。
 
 そして、逆に人間の側は、行動・思考の最適化が為されている気がする。
 
 そして、最高に思考が最適化された状態が、人間が真に頭が『良い』状態であるとなる方向に導かれる気がする。
 
 気のせいなら、それでも構わない。
 
 俺にしたって、仮説の証明の為に『三度の再現性』を試みているが、『再現性』が、どうしても『三度』までに至らない。
 
 故に、自分の仮説が正しいと云う自信が持てない。
 
 いや、恐らく正しいとは思うのだ。だが、『三度の再現性』を確認出来ぬ程、俺は『世界の法則』に嫌われている気がする。
 
 二度までは、再現性を確認出来る事はままある。だが、『三度の再現性』は、偶然の産物ではあり得ぬと云う判断をする基準だと、昔、学んだ気がする。
 
 『三度の再現性』が確認された事項については、何らかの、根拠があると思われる。だからと云って、『三度の再現性』が確認出来れば、何でも正しいと確認出来る訳もあるまいが。
 
 俺は過去、頭の半分を『アカシックレコード』に直結させていたと思われる経験をしている。世の中では、ソレを『病み』と云うが。
 
 仕方あるまい。俺は、生まれながらにして『反則負け』の運命だったのだから。
 
 視点を変えれば、勝負のしようはあるが、『勝利』には程遠い。最短距離なら、妻と子一人で一役出来るが、その役は、我が家系では役として数えていない。
 
 閑話休題。
 
 俺はこのゲームで今、アルテミス様の神殿に、足繁く通っている。
 
 天照大御神様からは、ブロックされたからなぁ。アプローチは一回したのだけれど。
 
 でも、リアルでアルテミス様が誰なのかは分かっていないんだよなぁ。
 
 ……ん?天照大御神様は誰なのか判明しているよ?本名は知らないけれど。
 
 出来れば、アルテミス様のアバターに出会いたいところなんだけれども。
 
 無理だろうなぁ。――いや、アルテミス様の行動予測をすれば、出逢うだけなら、可能性はある!
 
 おう!……狩猟の女神様でもあったよ。魔物狩りに精を出している事は想像に難くないよ。
 
 恐らく、戦闘を避けている事を知れば、臆病者!と罵られる事が予想される。俺にそんな趣味は無い。
 
 はぁ……。神社に戻って、熱心にお参りして来る女神様が居たら、その女神様にアプローチしてみよう♪
 
 ――なんて言ってもなぁ……。熱心にお参りに来ると言っても、せいぜいが一日一回だ。
 
 どうやら、俺は幸運を齎す代わりに、それ以外のお役目としては不要な存在らしい。
 
 はぁ……。凹む……。
 
 とりあえず、ミッションをザーッと見ておこうか。
 
 ……フム。他の神様との交流系のミッションが気になる。
 
 だが、その為には、パーティを組んで狩りに行かなければならないようだ。
 
 そして、親密度が上がると出来る事が増えるみたいだけれども……。
 
 ――よし!ココは、魔物狩りに行こう!敢えて、運命と戦う選択肢を選ぶ!
 
 幸い、他のミッションでレベルはそう低くは無い。
 
 装備も買い揃えて、と。
 
 パーティの募集を眺めて、良さ気なパーティにメンバーとして募集する!
 
 ……
 
 ………
 
 …………
 
 良し、応募が通った!
 
 魔物狩り場入り口で集合、30分以内、か。急ぐか。
 
 ソコには、三柱の神々が待っていた。合計六柱と言っていたから、俺より遅れたのが二柱居ると云うことだろう。
 
「よろしくお願いします~♪」

「「「よろしく~」」」

 よし、挨拶も済んだ。あとは――
 
「スミマセン、俺の武装、弓なんですが、大丈夫ですか?」

「大丈夫。パーティの編成は気を付ける事にしているから」

 おお、流石、七福神の一柱、毘沙門天びしゃもんてん様。武芸に関しては、完全にお任せして、自分の役割だけキッチリこなせば大丈夫かな?
 
「すまない、遅れたー」

 そう言って近付いて来るのは、オリオン様と――アルテミス様?!
 
 そうか……恋仲との噂があったが、それは確かだったのか……。
 
「じゃあ、役割分担等、指示するよ。――」

 俺はこうして、初めてのパーティによる狩りに挑む事になったのだった。