デート

第41話 デート

 今日は、珍しく卯月さんに誘われて、デートの日~♪

 ……等と思っていたのですが。

「何であなたがココにいるのよ」

 夕姫の姿に、昼姫は若干ご機嫌斜め。

「監視役よ!行き過ぎた行為に走らないようにね!」

 そう云って、夕姫が差し出した『委任状』。ちゃんと、昼姫の両親、翔次と美鈴の署名もある。

「安心して!自分の分は、自分で支払うから!」

「……はぁ」

 昼姫は早々に諦めた。卯月さんは、昼姫の決断に従う様子だ。

「大丈夫♪邪魔はしないから!」

 同行してくる以上、その存在そのものが邪魔なのだが、仕方があるまい。

「まず、予定通りに映画を観に行こうか」

 地下鉄に乗り、映画館近くの駅まで。そこから歩く。

 時刻から観る映画を決め、チケットカウンターへ。中央最前列の席が空いていたので、ソコに卯月は2席確保する。

 夕姫は、卯月が画面を見て決めるのを待ち、その隣の席を確保する。

 この際、映画のタイトルは然程考えずに観たのだが。

 一部、際どいシーンがあり、夕姫さえ居なければ、絶好のキスシーンだったわね。

 その後、近くのハンバーガー屋さんに入り、映画の感想なぞを言い合う予定だったのだが。

「ゴメン。もう少し、事前情報を集めるべきだった……」

「いえ!それ自体はどうと云う事は無いんですけれど……」

 昼姫が、キッと夕姫を睨んだ。

「夕姫、あなた、どうしてついて来たのよ!」

「私が責められるの!?何で?!理由を教えて!」

「何で、って言われても……」

 そりゃ、答えづらい問い掛けよね。

「とりあえず、食べ終わったら、ガチャコーナーやクレーンゲームコーナーに行って、満足したところで解散。で、良いかな?」

「はい。良いと思います!」

「帰りは、自宅近辺まで付き添うよ。どうやら、頑張れば僕の家まで徒歩圏内みたいだからね」

「はい!私の家も、昼姫姉さんの家から近いです!」

「じゃあ、夕姫さんに先に家まで付き添おうか」

「……はい?」

 諦めなさい、夕姫。今回は、二人はキスシーンを諦める様子は無さそうよ。

 ──と、思って夕姫を送り届けてご両親に挨拶すると。

「あら、昼姫ちゃん。お久し振りね。

 コチラは、彼氏さん?

 まあまあ、上がって行きなさいな。美鈴には連絡しておくから。

 彼氏さんも親御さんに連絡する?」

 等と引き留められ。

「いえ、僕は別に断らなくても……」

「良かったら、晩御飯お召し上がりになって。

 帰りは、悪いけれど、昼姫ちゃんを送って行ってくれる?」

「はい、それは勿論!」

 でも。時間から考えて、余り寄り道とかは出来そうにない。

「卯月さん。また今度、今度こそは二人きりで、デートの方、またして下さいね」

 昼姫は小声でそう云うと、卯月さんは「勿論」と返したのであった。