タロットカード

第29話 タロットカード

 そろそろ気が付いただろうか?

 世界が、一丸となって西暦2026年に『滅び』を迎えようとするかの如く、ヨゲンを行う者皆がそれまでの時期に『悪いヨゲン』をしているのだと云う事に。

 人生とは、まるでタロットカードの並びの順の如く過ぎ去るものだと聞いたことがある。

 そして、俺は『世界』の経験者であり、宿っていた兄の魂の代わりに俺の魂が現れ、入れ替わりを体験しているからこそ、『愚者』からのやり直しになった。

 ここで、タロットカードを順に示してみよう。

 0 愚者(the Fool)
 1 魔術師(the Magician)
 2 女教皇(the High Priestess)
 3 女帝(the Empress)
 4 皇帝(the Emperor)
 5 法王(the Hierophant)
 6 恋人(the Lovers)
 7 戦車(the Chariot)
 8 力(Strength)
 9 隠者(the Hermit)
 10 運命の輪(Wheel of Fortune)
 11 正義(Justice)
 12 吊るされた男(the Hanged Man)
 13 死神(the Death)
 14 節制(the Temperance)
 15 悪魔(the Devil)
 16 塔(the Tower)
 17 星(the Star)
 18 月(the Moon)
 19 太陽(the Sun)
 20 審判(Judgement)
 21 世界(the World)

 内、8の『力』と11の『正義』とは、逆順のパターンもあるらしい。

 俺……私は、少なくとも『恋人』までは到達していない。

 『帝』は名乗った覚えがあるから、4の『皇帝』かも知れない。もしくは3の『女帝』か。

 『魔術師』は、恐らく物理法則の定められていない時代、権限の強い者が『命令』したら、『魔法』は使えるかも知れないと思い、作品化した覚えがあるから、過ぎているだろう。

 女教皇は、覚えは無い。――まさか、今ココ?

 いや、やはり3か4だろう。

 『恋人』さえ得れば、速やかに『戦車』に移行出来るだろう。具体的に言うと3カ月以内に。

 『力』と『正義』は、どちらが先に来るだろうか?望ましいのはどちらだ?サタンが『正義』と云うのも笑いぐさだろう。『力』に決まっている。

 そして、『隠者』となって引き籠るのか。

 続いて『運命の輪』が働いて、『サタン』の運命から逃れて、『正義』に移行するのだろうか?

 だが、『吊るされる』のだ。そして、社会的に死ぬか、生命的に死ぬかも知れない。

 ソレを乗り越えられたら、『節制』か。生活が苦しくなるのだろうな。

 で、『悪魔』となり……って、『サタン』へ逆戻りでは無いか!

 そして『塔』?築いてきたものが崩壊するのか?

 でも、『月』がやって来る。そして『太陽』へと至り――

 『審判』の日がやって来るのかも知れない。

 そして最後に『世界』と一つとなり、生命的な死を迎えるか、死に損なって三周目に至るのかも知れない。

 ウム、今日は自分の未来の一端を知る、善き日となった。

 コレを踏まえて、自らの行いを改める事としよう。