第16話 タブレット端末
ゲーム専用機の購入を検討して、悩んだ昼姫は、結局、老師・岡本に『にっこりステーション』間近の『ハードセキュリティ』と云う電話会社のショップに付き添って貰った。
「彼女に、ゲーム専用機を」
「畏まりました」
岡本は、手慣れた様子で居て、店員に案件を丸投げした。
待ち時間の間、椅子に座ってタブレット端末で流れるコマーシャルを眺める。
「お待たせ致しました。
今現在、取り扱っているゲーム専用端末は、コチラの4機種になります」
そして、店員はスマホ3台に加えて、コッソリとタブレット端末1台を提示した。
「ああ、そうか。画面が広い方が良いから、タブレット端末にする、って手があるんだ」
「……?」
理解していない昼姫と、ソコに説明を加える店員。
「恐らくは、殆どのゲームに於いて、画面は広い方が有利かと思います。
如何でしょうか?性能も、サイズに応じて高いと思われます」
知識の無い昼姫と、ある岡本。だが、第一感は一致していた。
「タブレット端末の方が良いような気が……」
「儂も、勧めるならタブレット端末かな?」
そう意見が一致したところで、店員から説明が行われるが、全て、昼姫の許容の範囲内だった。
そして、昼姫がタブレット端末を指して、こう言った。
「コレ、一台下さい」
「ありがとうございます」
諸手続きが済んで、箱に入った上で袋に入れられたタブレット端末を、昼姫は持ち帰る。
「儂も欲しいかもなぁ、タブレット端末」
岡本も、近い内にタブレット端末を取得するのかも知れない。
兎も角、まずはタブレット端末の初期設定からだ。
昼姫は岡本に手伝って貰い、タブレット端末の初期設定を済ませる。
そして、『Trade around the Star』の『Morning』のアカウントを、タブレット端末に移す。
月極4ヵ年での支払いだが、通信料も含めて、経費として落とす為に、昼姫は別口での支払いを申し込んであった。岡本の入れ知恵だ。
試しに、使用してみた際の昼姫の感想だけれど。
「うわぁ、細かい操作がし易くて、快適です!」
「読み込み時間なんかも短かったと思うけど、どう?」
「あ、そう云えばサクサク快適でした♪♪」
楽しそうにゲームにのめり込む昼姫。アタシにも操作させて!って気持ちは強いんだけど、伝わらないかぁ……。
老師・岡本も、微笑ましく見守っている。
そのことに昼姫も気付いたのか、ハッと我に返って赤面した。
「スミマセン、新しいオモチャを与えられた子供じゃあるまいし……」
「否、そう云う感性は子供の頃のままでいいと思うよ。
まぁ、でも、そう云う認識をしてしまったら、恥ずかしくもなるか」
カッカッカと笑う岡本。このオジサン、さてはモテないな?
例えた昼姫も昼姫だが、確かにそのような状態であろうとは思える。
人間、遊ぶ時の感性は、子供の頃と大人になってからも大して変わらないのだろうなと、アタシはそう思った。