第19話 ショットガンの餌食
二回戦の俺の相手は、非常に珍しいタイプのキャラクターだった。
姿は、黒いローブを身に纏った、如何にも魔女、といった姿だった。
似たようなキャラクターは、CPUキャラクターの中にもいる。
設定が同じなら、防御力のみが高く、必殺技のみで攻撃をして来るという、特殊なタイプのキャラクターとなっている筈だ。
これが、なかなか厄介な相手だった。
攻撃力では並位の必殺技にも匹敵するショットガンだが、基本技は必殺技に撃ち勝てないように設定されている。
つまり、同時に放てば、俺の方が負けてしまうようになっているということだ。
『ファイア・ボール!』
一抱えはありそうな巨大な火の玉が、俺の傍を通り過ぎる。
派手な攻撃だが、連打していることを考えれば、大した攻撃力は無い筈だ。
俺はライフを削られることを承知の上で、じわり、じわりと歩み寄った。
そしてあと一歩というところまで近寄ったところで――
『ファイア・ボール!』
「裏ジャック!」
カウンターの攻撃となるタイミングで、必殺技を繰り出した。
まともに入った裏ジャック。
大きく削れるかと思ったライフは、およそ6分の1を削れたかどうかという程度だった。
やはりコイツは、変動能力値の全てを防御力に費やしているようだ。
……となれば、俺が取る手段は二択。
接近戦に持ち込むか、削れるだけ削っておいて、時間切れになるまで逃げ回るか。
どちらにしろ、今は削り続けなければならない。
俺は敵の立ち上がりに、ショットガンを重ねた。
ガードされるかと思ったソレは、見事にヒットして、敵を再び転ばせた。
そして俺は、その一撃が入ったことによって、そのまま接近して戦うことを決断した。
再び立ち上がりに重ねるショットガン。
流石にそれはガードされてしまったが、その隙に俺は背後へと回り込む。左手の拳銃を連射しながら。
そして背後に回ってから、ショットガンを放つ。
再び敵は倒れて……。
結局は拳銃の連射の合間に攻撃出来なかった敵は、その繰り返しに従う他無く。
余裕を持って、俺は勝つことが出来た。
続く試合では、タンクタイプ。その次もタンクタイプ。そしてライトタンクの順で当たり。
そのいずれをもショットガンの餌食とし、ケントと圭の頑張りのお陰で、俺たちは順調に勝ち上がっていった。
やはり勝ち上がって行くのは、総称としてのタンクタイプを中心としたチームのようだ。
圭は無敗では無いのだが、その時には降籏さんが勝っていた。
聞いたところによると、降籏さんはどうやら、今のところ全勝の様子だった。
彼女は今や、我がチームの貴重な戦力と言って良いだろう。
そして予選の最終試合。
俺は再び、『スーパーライト』という名の、ライトタンクと思われる相手と戦うことになった。