第12話 コレラ亜種
『Aeorus』による、朝中露の三箇国への侵略が始められた。
最初は、『少しコロナ患者が多いかな?』程度であった。
そして、まず中・朝の貧民層が死に始めた。
露については、敵対状態が激しく、情報が入って来ない。
貧民層が死に始めたことで、中・朝の経済が次に崩れ始めた。
この頃に、露も経済的に崩れ始めた事で、恐らくは同様に貧民層が死に始めた事が予想される。
中・露は大国故、立て直せそうな気配はあった。だが、朝は他の社会主義国の支援が無ければ、既に詰んでいた。
ソコで、朝が大きな『賭け』に出た。――核ミサイルを発射したのだ。
目的地は、札幌。その鬼門・北東方向へ落ちそうな気配だったが、『クルセイダー』全員に一斉警報が出され、『Gungnir』と『AEgis』による迎撃が試みられた。
幸い、大気圏への侵入直後に迎撃され、そのミサイルによる一見の被害は無かった。
だがしかし、ソレが原因で札幌周辺に『黒い雨』が降った。
当然、日本は国として抗議をし、他国も『核ミサイルはやり過ぎだ』との見解から、朝は孤立し――コロナで滅び、韓の支配下に収まった。
コレに焦ったのが、中・露をはじめとする社会主義国。
韓に、『やり過ぎだ』との非難の声が挙げられたが、幸か不幸か、韓の国民性故に、そう云うバッシングには強く、その意見に動揺一つ見せなかった。
次に、貧民層の死体の放置による、伝染病が発生した。
コレは、『コロナ禍の次のパンデミック』と言われ、世界中を脅威に陥れた。
流行した病気は、コレラの亜種。一説には、『また中の新たなバイオ兵器か!』等と言われたが、中はむしろ早々に貧民層の死体を処分していたが、露は違った。
宇との戦争中と云う、正に自業自得な原因で、死体の処分が遅れ、コレラ亜種は大流行し、ソレは大統領とて例外では無かった。
一説によると、既に死んでいたとの説も流れていたようだが、『まさか露の作った新バイオ兵器か?!』とまで言われるほど、露での流行は酷かった。
これにより、露は壊滅状態にあり、戦争どころでは無くなり、次の大統領はパンデミックの終息を目指して努力し、何とか国の崩壊は防いだ。
残る中は、『どうせ最期には中に力が集中して、次のビッグバウンスの管理も出来るだろう』等と嘯き、標的を日本から台に向けた事で、一応の落ち着きを取り戻した。
結果的に見れば、韓の一人勝ち。
だが、キラーチーム同士の対立は、コレとは関係なく、深まるばかりで水面下の争いに終始していた。
コレに因り、第三次世界大戦まで発展するのは防がれた。
世界は、あと60年の安心出来る時間を何とか確保したのだった。
尚、朝の首相は病で死ぬ事無く、韓軍に囚われた後、公開処刑に処せられた。
『マナー』を知らなかった朝の元首相は、最期は一人の娼婦にナイフで刺し殺されるところを撮影・公開されたのだった。
ソレを以て、朝と云う国は消え、韓は『数百年の経済的発展の余地』を手に入れて、日米韓v.s.朝中露の緊張状態は、ある程度まで鎮められたのだった。