コラッツ予想

第24話 コラッツ予想

 麻など信じてはいけない。彼は、ヒットラーの屁である。

 狂気に陥り、死後の世界を定義付けて、楽に走ったキ〇〇イである。

 もっと言えば、貪欲で色魔。

 解脱など、アイツが最終では無い。

 むしろ、これからどんどん増えて行くであろう。

 ただ、俗世からの解脱を目指したあのキ〇〇イは、本当に最後の悪い例なのかも知れないが。

 気付けば、教祖は難しいが、コレを以て『解脱』と名付けたであろう現象は、気付きの問題だけである。

 そして、麻は調子に乗ってしまったが、同じ経験をした者は、多数居るのである。

 更に言えば、自分で気付かなければ、教えられては意味が無い。つまり、教義に従う教徒たちは、決して解脱することは無いと思われる。

 おまけに、世論が死刑以外を許さなかったから死刑になったが、その頃、麻は精神障がい者だった筈である。

 恐らくは、脳内麻薬の分泌の方法に気付いたのだろう。そして、コレに関しては、周囲に居る者も影響を受ける為、教徒の多くが精神障がい者になっている可能性が高い。

 だからと云って、助けてやる義理は無いが。

 ただ、覚醒者は次々と現れている筈である。教徒に限らず。むしろ、教徒は教えを学んでしまった分、覚醒の条件を満たすのが難しい筈である。

 全て、一人で気付いて、ソレが完全な覚醒者。そう云う意味では、俺ですら未だ、覚醒者では無い。

 数学の研究は、紙とペンさえあれば、何処ででも出来る。

 コラッツ予想がその典型的な例だろう。

 偶数は2で割る。奇数は3倍して1を足す。この処理を限界まで続けた時、正の整数(自然数)は全て1→4→2→1を繰り返すようになるという予想である。

 コレが中々、難しい。

 懸賞金、1億2000万円の難題である。挑戦してみると良い。

 偶数の場合、奇数になるまで2で割るから、全ての奇数で成り立つと、照明が可能だ。

 そして、奇数の場合、3倍して1を足すと云う処理は、即ち、『(3n+1)/2』と云う計算が、成されるのと同時に、『n=(2m+1)【mは自然数】』であるので、『((3(2m+1)+1)/2)』であり、『3m+2』でもある。

 この時、mが偶数であると、2で割る処理が入り、『3/2m+1』となる。この時、nは『1/2m』分だけ減るのが重要であり、mが永遠に奇数となる数字が存在するのでも無い限り、nは『2の累乗』となった時、コラッツ予想は成立する。

 ――とまぁ、単純な割に意外と面倒な計算を必要とされ、現時点で、未解決問題である。

 実際、奇数の累乗を果てしなく大きな数字になるように設定すれば、nは『m+1』分だけ大きくなり続けるのであり、累乗を無限大まで大きくした時、無限大に大きくなり続けてその結果、どうなるかを証明すれば、証明終了である。

 是非とも解いて懸賞金が欲しいものであるが、そんな簡単に解けるのであれば、永年、未解決問題ではあり続けられない。

 問題は、ある一定の処理を終えた後に、必ず処理後の数値が小さくなり続けると云う事にならなければ、証明は不可能になる。

 数字が永遠に大きくなり続ける可能性も、十分にあるのだ。それも、『3の無限乗』と云う数値だけで、数値が大きくなり続けるのを止める事は出来なくなる。

 無限乗とは言っても、実際には有限超巨大数乗になるのだろうが、勿論、PCで処理できる数値ではない。

 なので、コラッツ予想が成立する、ある巨大奇数に、『+2』をした時に必ず成り立つことを証明するとかと云うアプローチの仕方もある。

 だが、挑んだ前人はこのくらいは想定しただろうし、もっと斬新なアプローチを見付けなければ、恐らく証明される事は無い。

 皆が知らないだけで、こう云った難問奇問は世の中に沢山あるのである。斯くいう俺も、それ程多くは知らない。

 ただ、予想の内容がシンプルなだけに、『ひょっとしたら解けてしまうのではないか?』と云う期待感が、挑戦へと駆り立てるのである。

 覚醒者として、この位は解いておきたいところである。