コア作成中止

第41話 コア作成中止

 6㎜玉のコア。
 
 ムーンは、ソレをコアの作成可能な現実的な限界と判断していた。
 
 ソレが、一ヵ月に4つ作れている。
 
 正直、限界なのはその内部に描く立体魔方陣の限界なのだ。半径2㎜の立体魔方陣。猶予ゆうよとして全方向に対して1㎜のスペース。
 
 精巧な立体魔方陣を描くにはソレが限界であるし、精巧で無ければ『αシステム』として稼働しない。
 
 だがしかし、ある程度の数の6㎜玉を作った後、ムーンはサトゥルに7㎜玉の作成を依頼した。
 
 ソレが、日に一個出来た。
 
 在庫が100に届いたところで、ムーンはサトゥルにストップを掛けた。
 
 ムーンにしてみれば、土鉄の技術がかくも高度なものだとは想定の範囲外であった。
 
 コアのサイズの下限に至った。それは即ち、『αシステム』を作る技術の上限に至ったのとイコールであった。
 
 或いは、コアの内部に立体魔方陣を描く技術もサトゥルに教え込めば、更なるサイズダウンを出来るかも知れなかったが、ムーンにはそんな必要は無かった。
 
 サトゥルに休暇を言い渡し、解放する。
 
 或いは、ソレでサトゥルが再び狙われる可能性もあったが、コアの内部に立体魔方陣を描く技術は、実はムーンは自分の他に、そんな芸当が出来る人物を知らなかった。
 
 故に、コアを『αシステム』として完成させられる者が居ない可能性もあったし、その技術を身に着けるには、それなりの教養が必要であり、そんな事を学ぶ手段を、ムーンですら独学以外に方法を知らなかった。
 
 ムーンから直々に学ぶのは、ムーンに教えるつもりが無ければ不可能となる。
 
 事実上、ムーンの独占市場なのだ。
 
 なので、未だサトゥルの役目が残っていた前回と違い、今回は、サトゥルがさらわれても、然程さほど問題は無かった。
 
 だからと言って、見捨てるつもりは無かったが。
 
 ムーンの方は、準備万端整った。
 
 あとは、アース、カメット、リックの準備が整えば、合流しても良かった。