コアの販売

第15話 コアの販売

 カメットとリックが学園に戻った。
 
 そして、何故か二人は『αシステム』の概要を、以前より正確に知っていた。
 
 又、情報として、『αシステム』コアの販売が解禁されたとの通告があった。
 
 アースは、それには当然ノトスが関わっているであろうことを確信していた。
 
 販売が解禁されたと云っても、ソレは『光の僧侶』にやけに偏っているようだった。
 
 話によると、それ以外の七つ、即ち――
 
 『天の賢者』
 
 『地の女神』
 
 『風の英雄』
 
 『水の詩人』
 
 『火の戦士』
 
 『氷の魔王』
 
 『闇の盗賊』
 
 以上の七つは、在庫が一個限りとされていた。
 
 恐らくは、争奪戦が起こるだろう。
 
 そして、最も倍率の低い、『光の僧侶』は、アースは完全体を所持していた。例の指輪だ。
 
 故に、アースは新たな『αシステム』コアの取得を諦めた。
 
 その判断は、正解だった。
 
 昼休みにコアの購入に向かった学生は、全員が跳ね返された。即ち、外部の者による争奪戦が終わった後で、『光の僧侶』の一つすら在庫は残っていなかったのだ。
 
 恐らくは、来年の入学生は例年より多いであろうことが容易に予測される。
 
 そもそもがコアの売買など、滅多に行われる事では無いのだ。
 
 アースの脳裏には、ノトスが何らかの形でコアの製法を知り、作成した余りを売却に回したものだとの予測が立っていた。
 
 そして、その予測も間違っていない。
 
 ムーン=ノトスが、試験的にどの位の値段で売れるのかを確かめていたのだ。
 
 結果、法外な金額を提示してすら、10分少々で売り切れた。
 
 如何に、ペクサーが人気の職業かと思い知れる。
 
 実態が、『αシステム』による過酷な仕事であれど、確かに給料が高いとあれば、その給料を目的にペクサーを目指す者は多い。
 
 職場を選べ、ほぼ永久就職に近く、不満があれば他の職業を選べる。――まぁ、ペクサーを使い潰す会社など、まず求められないし、永く就職して貰う為に、待遇は良きに計らえられるとあっては、仕方があるまい。
 
 ともかく、カメットとリックが戻って来たとあれば、アースは二人からノトスの情報を昼休みに聞くしかない!と思っていたのであった。