カウンターアタック

第77話 カウンターアタック

「――と云う訳で、改名の手続きを役所でして貰いたいんだが、出来るか?」

 電話口で、恭次は言う。対して相手の方は――

『別に構いませんけどねぇ。コレでも、中々忙しいんですけど』

「俺から、何らかの都合をつけて貰う口実を作った方がスムーズに事が進みそうか?」

『まぁ……それでもいいですけど」

「サンキュー!!

 日時を指定してくれ。なるべくコチラが合わせる」

『うーん……少々お待ち下さいね。

 ……

 …………

 ………………

 もしもし、明日の午前10時で大丈夫でしょうか?』

「おお!そんなに早く動いてくれるのか!ありがたい!

 それで、もし改名案が無いなら、『風間 疾風』にして欲しいと思っている。

 マは、元の[『魔』からアイダの『間』に変えて欲しい。

 ついでに俺も改名するんだが、『緋神』は変わらずで『恭次』を『恭一』にしようと思っている。

 そう云う訳で、よろしく頼む。

 どの区の区役所になる?区役所の入り口前で待ち合わせよう!」

『豊平区役所ですね。区役所入り口前ですね。で、午前10時。

 よろしくお願いします』

「ああ、コチラこそよろしく頼む。

 じゃあ、ありがとうな。また明日な!」

 恭次はそこまで話した段階で電話を切ってしまったが、問題はあるまいと恭次は勝手にそう思っている。

「さて。この改名を以て、俺は日本を守り切れる程度には世界を支配してくれる!

 断じて!侵略の為の支配なぞ、してたまるか!」

 それは、恭次が魂を込めて誓った、信念の言葉に他ならなかった。

「露首都よ、炎に包まれよ!」

 ソレは、恭次の望む、『日本・北海道侵攻防止』の為のスローガンでしかない。

「で?隼那、宇の首相にキチンと物資は届いたんだろうな?」

「――コチラの世界線では、届けたわ。

 現実の世界線では、届くものかどうか、甚だ疑問でしか無いわ」

 その時、喫茶『エルサレム』で開店中は常に映しているテレビに、速報が入った。ほぼ同時に、皆のスマホにも。

 それは、宇が『何らかの兵器を以て』、露から領土を奪い返すべく、動き始めたと云う内容に他ならなかった。