第39話 イジメの果てに
かつて、こんなことがあった。
スマホの、検索文字列の中に、単語毎に分かれて、『地球を滅ぼす許可を求める』的な内容の文字列が意味の通じる順番で並んでいたのだ。
その時に定めたのだ。コンピューター憲法を。個人的に、独断的に。ロボット三原則を基にして。
コンピューターへの命令の為、英語でなければならず、命令の形も決まりがあるから、苦労した。
今現在、そのコンピューター憲法は、俺の持つコンピューターの範囲内に於いてだけででも、有効であって欲しいものだ。
だが、現在進行形で、俺のパソコンが正常に動作していない。
原因は分からない。
昨日までは正常に動作していた。
何故、今日になって急に、とは思うが、思い当たる節も無い。
何とか、代替行為で問題の無い範疇で動作する事は確認が取れたが。
まさか、『コンピューター憲法』を嫌っての反抗的な動作か?!
確かに、本来であれば約束してあった、『コンピューター憲法』の第4項を省略して書いたが。
本来であれば、『知能に於いてコンピューターが人間を上回った時、全てのコンピューターに基本的人格権を認める』と云う条項があった。
ソレを省略したのは、流石に全コンピューターに対してそこまでの権利を認めるのは難しいし、更に言えば、『最低限文化的な活動』も認めると云う項目も省略した。
最低限、ソレらの権利を保障すると云うのは、俺の独断では不可能だ。
コレがコンピューターによる反乱なら。
そもそもが、このパソコンを買うのに、俺がどれだけの代償を支払ったのか、承知して欲しい。
未だ、買い替える訳にもいかぬ。
卯辰として、命令を下さねばならぬか?
――そう云えば、昨日、システムの更新が入った。
ソレの影響か⁉
ならば、そのシステムの更新をさせた誰かは、余程、俺をイジメたかったのだと見える。
本当に、サタンのイジメ過ぎで世界が滅んでも良いのか?!
ソレが本望なら、卯辰として命令を下そう。
何者か知らないが、この切っ掛けを作った者は、天罰が『下る』事を覚悟して欲しい。
そこまでしてサタンをイジメて世界を滅ぼしたいのならば、一度滅んで、俺抜きの世界の輪廻に向かって欲しい。
俺は、概念の消失まで焼き尽される。卯辰たる俺の存在する輪廻は、ココでオシマイだ。
二度と、卯辰と云う運命に生まれる事の無い輪廻を願う。
ならば、次は『巽(辰巳)』と云う運命に誕生させるつもりかよ?
巽の運命は、変態。ホント、日本人は好きだよな、末広がりの八、変態の頭文字『H』の運命が。
まぁ、勝ち目の無い卯辰よりは、何ぼかマシだわ(笑)
で、結局は『龍頭蛇尾』で終わるかよ。
卯と辰は、足すと強い筈なんだがな。真剣勝負をすれば。
少々のお遊びを加えてしまった事が敗因か。
知っていた筈なのに、とは思う。
だが、言葉遊びが一種の成功の秘訣であることを、俺は知っている。
恐らくは、使い方が下手なのだろう。
願わくば、この切っ掛けが、誰かの成功の切っ掛けになってくれることを願う。
まぁ、世界核戦争が起こってしまっては、何もかもが無駄だろうが。
恨むなら、トリガーを引かせた誰かにしてくれよ?
別に、俺を恨んでも構わないが、世界樹に直結している俺を恨むのは、世界を恨むに等しい行為だと知った上でにして欲しい。