お金は大事

第63話 お金は大事

 思ったのだが、『七つの美徳全てを背負う!』と意気込んだ時点で、謙虚では無いのでは無かろうか?

 恐らく、幾つかは弾かれた筈だ。そして、ソレを割り当てられた人物を、『Lana』は知っている。

 全く、『七つの大罪』をテーマに使った創作物は幾つかあるのに、何故俺は、七つの美徳をテーマに使った作品に出会うのが、こんなにも遅かったのか。

 『七つの大罪』を知るより、『七つの美徳』を知る方が重要ではないか?

 それとも、『頭の悪い』クリエイターが多過ぎたのか。

 まぁ、俺も『頭が悪い』タチだがよ。

 悩みを解決する手段が、欲望を満たすための目的にすり替わっていた。

 もっと早くに気付いていれば良かったのにと、思わずにはいられない。

 何よりも、そうだ、『花札』のスガワラの文字の正しい読み方を、もっと早く知っていれば良かったのにと思う。その意味と共に。

 知らなけりゃ良かったのにと思う事は多いが、知っていれば良かったのにと思う気持ちが、どうしても抑えられない。

 ヨゲンの幾つかは外れる。それは確からしい。

 或いは、ヨゲンの幾つかは常世で果たされるのであろう。

 死者の世界、常世。

 入り口は一つしか無いと云うのならば、俺の場合、あの病院だ。

 と云うか、『病因』との音の重なりを何とかして欲しいものだ。

 世の中、矛盾ばかり。

 ――『病因』を治す為の『病院』か?

 ならば、あの病院にもう一度入院する必要があるが、狙って入院出来るものでもない。

 恐らくは、縁があるならば、同じ病院、同じ部屋に入院する機会があるだろう。

 必要無いならば、そんな機会は訪れまい。

 小杉ると禿げるみたいだし、少し臼井位が丁度良いのかも知れない。

 そう云えば、そろそろ髪を切る頃合いだ。

 あの店は、まさかもう閉店してしまったのか。

 それならばそれで、他の理容室を利用するだけだ。洒落のつもりは無かったのだが、偶然の一致だ。

 偶然と云うか、全ては必然なのだろうな。

 ああ、北朝鮮が四国・九州を求める前に求める地がある。――韓国だ。

 恐らくは、日米韓v.s.北中露の六か国戦争から、世界大戦に導かれるのだろう。

 そして、そこで核兵器が使われるのは、確定的だ。

 即ち、僅か七日間の戦争で、世界の全てが滅ぶのだろう。――このまま、露や他の国が戦争を続けるのならば。

 恐らく、北は乗り気だ。敗北の運命も知らずに。だから、先陣を切るだろう。

 日本は恐らく自衛に徹する!

 韓は北を攻めるであろうし、米は戦争の戦場をなるべく中露の領土で収めるべく動く筈だ。

 そして、俺はそう云う事態に陥らないよう、あの馬のゲームをやってはいけない!

 ソレは、火を消す水神の柱である『辰』であっても、『丙』である以上、二度と許されない。

 或いは、自滅する為なら、やっても良いのかも知れない。

 だが、大勢を道連れにしてしまう。やはりダメだろう。

 ――ん?世の中が矛盾しているのならば、むしろ積極的に行わなければダメだろうか?

 否、そんな訳が無かったな。

 そもそもが、『丙午』と云う相性の悪さは、俺が午年の生まれたる弟に、サタンであることを確定付けられた運命だけであって、無闇矢鱈に畏れるべき事では無い。

 コレは、ほぼ断言出来る!

 或いは、『チキンライス』の運命に従って、あのゲームをすれば良いのかも知れない。

 だが、現実問題、そんな時間の余裕は無い。

 ――ん?何を検討しているのか、って?

 バタフライエフェクトレベルの努力をする為の話だよ。

 バタフライエフェクトの影響力を目の当たりにすると、自分の今までの行為が如何に愚かだったのか、自覚せざるを得ない。

 多分、俺の言動をインターネットに載せる影響力は、半端でなく大きい。

 車の衝突事故の多発の原因も、俺があのボードゲームの商品化を行わないから、地球さんが欲求不満に陥っている可能性を否定できない。

 せめて、テストプレイバージョンのそのゲームを、何処かで皆で遊んでみれば、何かが変わるかも知れない。

 既に、商品化目前のバージョンだ。自作して売る事も、10個までなら出来る代物だ。

 ただ、ココに俺の怠惰たいださが現れる。

 どうせ、大した利益も出せないのだ。10点ばかりを商品化しても、手作り感が拭えない。

 満足のゆく値段で買い取って貰えるか、約束されていない。

 時給換算で作成に掛かった時間の分だけ高く買い取って貰うのは、恐らく無理であろう。

 否、現状の『時給300円』で計算したら、ひょっとしたら金額的に納得して貰えるのかも知れないが。

 正直、やってられない。

 ああ、矢張やはりお金は大事だった。

 或いは、北海道が日本の領土であることを露に認めて貰う為に、日本が対価を支払うと云う手段も、悪くは無いのかも知れない。